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224件の検索結果が見つかりました

  • 視線が突き抜ける、開放的な回廊 ― ゴムタイヤが変えたAGTの「車内風景」

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 視線が突き抜ける、開放的な回廊 ― ゴムタイヤが変えたAGTの「車内風景」 です。 一般的な鉄道に乗っていて、車両間を 仕切る重いドアを「鬱陶しい」と感じた ことはありませんか? 一方で、多くのAGT車両の貫通路には、 あのドアがありません。 先頭車両に立ってふと後ろを振り返るときし 、数両先の最後尾の窓から、遠ざかって いく都市の景色が真っ直ぐに目に飛び 込んできます。 この視線が突き抜ける圧倒的な 「透明性」は、高架を走るAGTならでは の贅沢な光景です。 通常、鉄道の貫通路にドアがある大きな 理由の一つは、連結部の幌から侵入する 騒音を遮断し、車内環境を向上させる ためです。 特に鉄の車輪とレールが擦れる一般的な 鉄道では、カーブを曲がる際に耳を劈 (つんざ)くような激しい「軋り音」 が発生するため、その騒音を遮断する ドアが不可欠となります。 しかし、ゴムタイヤで走るAGTは、 急カーブであってもあの不快な金属音を 発生させることがありません。 遮るべき「軋り音」そのものがない。 この足元の技術的特性が、 物理的な仕切りをなくし、 列車全体を一つの大きな「静かな部屋」 へと変えることを可能にしたのです。 なぜ、AGTにはドアが不要で、 地下鉄には必須なのでしょうか。 そこには、都市が守るべき 「安全の論理」があります。 地下鉄の場合、トンネル内での火災発生 時に煙を遮断し、延焼を防ぐ目的で 貫通路ドアの設置が義務付けられていま す。 そのため、路線の一部が地下区間となっ ているアストラムラインには、 AGTで唯一、貫通路ドアが設置されて います。 このドアの有無は、その路線が置かれた 環境(地下という密閉空間か、地上と いう開放空間か)において、 どのような安全基準を優先しているかを 示す指標でもあるのです。 騒音をドアで封じ込めるのではなく、 そもそも騒音を出さないという設計思想 。 仕切りのない貫通路は、 AGTがゴムタイヤという技術によって 「静かな移動」を実現し、 都市の景観や人々の身体感覚に寄り添っ ていることの証です。 私たちは今日も、この開放的な回廊を 通り抜ける柔らかな光を感じながら、 都市の最短距離を軽やかに駆け抜けて いきます。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • スタジアムの熱狂を日常へ繋ぐ ― 西武山口線「L00系」が拓く、41年目の新標準

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 スタジアムの熱狂を日常へ繋ぐ ― 西武山口線「L00系」が拓く、 41年目の新標準 です。 1985年の誕生以来、日本の新交通シス テムの「標準」の礎となってきた西武 山口線(レオライナー)の8500系。 41年という長い歴史を経て、ついに 新型車両「L00系」へとそのバトンが 渡されました。 この更新は、単なる車両の置き換えでは ありません。 ベルーナドームという巨大な集客装置が 生み出す「熱狂」を、いかにスムーズに 日常へと還していくかという、 都市デザインの最適解への挑戦です。 新型L00系の設計には、徹底した 「流動性」への執念が宿っています。 特筆すべきは、座席数を120席から 56席へと半分以下に削減した ロングシート化の決断です。 一見するとサービス低下に思えるかも しれませんが、これにより10%の軽量化 を達成し、逆に満車人数を10% (396人から436人)増やすことに 成功しました。 さらにドア幅を従来の1100mmから 1300mmへと18%拡大し、1枚扉から 2枚扉へ変更した点も見逃せません。 この数センチの拡大が、試合終了後に 一斉に駅へ押し寄せる観客の乗降時間の 短縮に貢献しています。 混雑時の快適性を左右する空調設備も 劇的に進化しました。 クーラー能力を 30%増強しただけでなく、冷風が直接 乗客に当たる「直吹き方式」から、 車内全体の温度を均一化する 「ダクト方式」へと変更。 満員電車特有の不快な温度ムラを解消 しようとする設計者の微細な配慮が、 イベントの余韻を壊さない 「心地よい移動」を支えています。 アストラムライン7000系の実績を 土台に、西武山口線特有の課題である 「ベルーナドームのイベント終了後の 積み残し解消」に正面から挑んだL00系 。 技術の細部を積み上げ、社会的な 使命を果たすこの車両は、 これからの40年、西武沿線における 「新しい標準」として街に溶け込んで いくはずです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 「ラストワンマイル」は遠すぎる― 超高齢社会に寄り添う「ハーフマイル」の知恵

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 「ラストワンマイル」は遠すぎる― 超高齢社会に寄り添う「ハーフマイル」 の知恵 です。 交通問題や物流の文脈で、 最寄りの駅から自宅までの区間を指す 「ラストワンマイル」という言葉を よく耳にします。 しかし、都市の日常を歩く私たちにとっ て、この「1.6km(ワンマイル)」と いう距離は、本当に適切な基準なので しょうか。 ワンマイル(1.6km)を普通に歩くと、 二十数分もの時間がかかります。 元気な若者ならまだしも、 高齢者や重い荷物を持つ人にとって、 20分を超える歩行はもはや移動という 名の「労働」です。 膝への負担や息切れを感じながら、 遠くの駅を目指す心理的ハードルは 決して低くありません。 対して、AGTの標準的な駅間距離である 「800m前後」はどうでしょうか。 これはワンマイルの半分、すなわち 「ハーフマイル」です。 歩いて10分ちょっと。 この距離なら、駅の気配を身近に感じな がら、街の景色を楽しみつつ無理なく 歩き通せる「心地よい散策」の範囲に 収まります。 実は、AGTが長年守り続けてきたこの 800mという距離設定は、 図らずも未来の超高齢社会における 「最適解」を先取りしていました。 ワンマイル先の駅へ行くために自転車や パーソナルモビリティを導入する議論も 盛んですが、最も本質的な解決策は、 インフラの側が「歩ける距離」まで歩み 寄ることではないでしょうか。 ハーフマイル(800m)ごとに駅がある。 その設計こそが、高齢者が社会とのつな がりを諦めず、自らの足で歩き続けられ る「優しい都市」の骨格となります。 これからの社会に向けて、既存の駅の 位置を、この「ハーフマイル」という 身体感覚を基準に見直していく必要が あるように思います,。 「ラストワンマイル」から 「ハーフマイル」へ。 視点を少し変えるだけで、都市はもっと 歩きたくなる場所に変わるはずです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • リバーシブルな機動性 ― 四輪操舵が支える、都市インフラの「信頼」と「ゆとり」

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は リバーシブルな機動性 ― 四輪操舵が支 える、都市インフラの「信頼」「ゆとり」 です。 街中を走る一部の高級車が、 旋回性能を高めるために採用している 「四輪操舵(4WS)」システム。 しかし、私たちの頭上を走るAGTに とって、この技術は単なる贅沢品では ありません。 誕生当初から欠かすことのできない、 都市の狭い空間を自在に走り抜けるため の「生存戦略」でした。 乗用車の4WSは、後輪の舵角はわずかで、 あくまでコーナリング性能の向上が目的 です。 対して、AGTの四輪操舵は極めて ダイナミックです。 AGTは「前進も後進も同じ速度」で走る というリバーシブルな特性が要求される ため、前後輪が同じ角度で、 かつ反対方向に操舵される仕組みが 不可欠なのです。 この走りを支える技術は、初期の 「リンク方式」から、現在は 「ボギー方式」へと進化を遂げています。 ボギー方式への転換は、 単なる方式の変更以上の価値をもたらし ました。 ボギー方式の最大の利点は、 リンク方式に比べて部品点数を 大幅に減らせることにあります。 部品が少ないことは、そのままシステム の「高い信頼性」へと直結します。 故障が許されない都市の公共交通に とって、このシンプルかつ強固な構造こ そが、住民との「絶対に止まらない」と いう約束を守る鍵となっています。 さらに、この方式は「車体幅を広く 取れる」という副次的でありながら 大きなメリットも生み出しました。 ボギー方式の採用によって生まれた 数センチのゆとりが、毎日の通勤・通学 における乗客の「快適性」を底上げして いるのです。 四輪操舵システムの採用と、 ボギー方式への技術革新。 それは、AGTが都市の「信頼」と 「快適」を、台車の細部から愚直に積み上 げてきた歴史そのものです。 リバーシブルな機動性を持つこの台車が、 今日も都市の血流を淀みなく循環させて います。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 街を彩る「動くパレット」 ― 画一性を超え、多様性を走らせるAGTの流儀

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 街を彩る「動くパレット」 ― 画一性を超え、多様性を走らせる AGTの流儀 です。 多くの鉄道において、車体の色は路線の アイデンティティや企業を象徴する 「記号」です。 しかし、関東と関西を走る二つの AGT路線は、その常識を鮮やかに 塗り替えています。 そこにあるのは、効率や統一感よりも、 人々の日常を豊かに彩るという 「都市のホスピタリティ」です。 その色彩の豊かさを最も間近に感じられ るのが、大宮の鉄道博物館3階にある 「新幹線ラウンジ」です。 目の前を横切るニューシャトルの 2000系は7色、最新の2020系は5色と 、計12色の異なる編成が走り抜けます。 さらに驚くべきは大阪のニュートラム 200系です。なんと21編成のすべてが 異なる色に塗り分けられ、唯一無二の 世界観を形成しています。 一編成ごとに異なる色を維持管理する 手間をあえて受け入れる。 そのこだわりが、沿線に 「動くカラーチャート」のような独特の 華やかさを醸し出しています。 「今日は何色の編成に乗れるだろう?」 というささやかなワクワク感は、 単調になりがちな通勤や通学を、 日常の小さなイベントへと変えてくれま す。 画一的になりがちな都市のインフラの 中で、この色とりどりの車両たちは、 子供たちの成長や住民の暮らしのリズム に寄り添う「記憶の栞(しおり)」と なります。 多様な色が街を流れることで、 公共交通は単なる「移動の道具」である ことをやめ、街の個性を肯定し、 住む人の心に明かりを灯す「動くアート」 へと進化しているのです。 ニューシャトルとニュートラムが見せる 色彩の競演。 それは、AGTというシステムが、 機能性だけでなく「心の豊かさ」という 目に見えない価値までを運んでいる証で す。 都市という大きなキャンバスに、 明日もまた、多色の個性が新しい血流を 送り込んでいきます。 次回のブログもお楽しみに!

  • 瞬時に現れる「デジタルの霧」 ― 窓一枚が創る、都市とインフラの心地よい距離感

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 瞬時に現れる「デジタルの霧」 ― 窓一枚が創る、都市とインフラの 心地よい距離感 です。 道路の上空という限られたスペースを 縫うように走るAGTは、 私たちの暮らしに最も近い場所を走る 「都市の毛細血管」です。 しかし、その物理的な近さは、 窓一枚を隔てたすぐ向こうにある 「誰かの日常」という繊細な境界線に 触れることでもあります。 沿線のマンションとの距離が近くなり やすいAGTにとって、 プライバシーの保護は、 騒音や振動対策と同じくらい重要な 使命なのです。 六甲ライナーで南魚崎駅から住吉駅へと 向かう車内では、ある瞬間に驚きの 光景が訪れます。 それまで見えていた沿線の景色や ベランダの洗濯物といった 「日常の風景」が、魔法にかかった ようにパッと真っ白な霧の向こうへ 消え去るのです。 これが、特定の区間だけで作動する 「瞬間曇りガラス(ミスティング ウインドウ)」という技術です。 そこには「見られる側」の不快感を デジタルの力で即座に解消する、 緻密な計算と制御が凝縮されています。 この技術は、単なる目隠しでは ありません。 住民にとっては「見られている」という 心理的負担を取り除く安心感となり、 乗客にとっては「見てはいけないものを 見てしまう」という気まずさを解消する 、双方への優しい「思いやり」の デザインです。 同様の仕組みは、シンガポールの ブキットパンジャン線やセンカン線でも 導入されています。 高密度な都市社会において、 公共交通が「良き隣人」として愛される ためのマナーは、世界共通の設計思想と なっています。 AGTは、単に人を運ぶだけの装置では ありません。 プライバシーという目に見えない価値 までを設計に含めることで、 沿線住民との良好な共存関係を築いて います。 「近接するからこそ、守る」。 この視覚的な共存という知恵こそが、 これからの都市インフラに求められる 優しさなのかもしれません。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • ループ式ターミナル駅のニューシャトル大宮駅

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 ループ式ターミナル駅の ニューシャトル大宮駅 です。 朝の通勤ラッシュで知られる品川駅に次 ぎ、国内有数の利用者数を誇る大宮駅。 この巨大な「大動脈」へと、 地域の足(毛細血管)として淀みなく 人々を送り届けているのが、 ニューシャトルです。 そこには、単なる混雑とは無縁の、 まるで「漏斗(ろうと)を流れる水」 のような流麗な人の動きがあります。 その秘密は、大宮駅独自の 「ループ式ターミナル」という構造に 隠されています。 ニューシャトルの大宮駅ホームは、 到着した線路がそのまま90度向きを 変え、出発線へと繋がるループ構造に なっています。 特筆すべきは、ホームへ進入する直前の 線形です。「59パーミル(1000mで 59m下る)」という強烈な急勾配と 小カーブの組み合わせは、 ゴムタイヤの高いグリップ力を持つ AGTでなければ実現不可能な線形です。 このループ構造には、運行上の大きな メリットがあります。 終点での「運転席の移動」が不要なこと と、「分岐(ポイント)が不要」なため 、機械的な故障リスクを徹底的に排除 した、極めてシンプルで強靭なシステム となっているのです。 この構造を人の脚に見立ててみましょう。 車両は「ふくらはぎ(上り線)」を通り、 「踵(かかと)」で90度向きを変えて、 「足の裏」にあたる大宮駅ホームに停車 します。 到着した6両編成から一斉に吐き出され た人々は、幅の広い数段の階段を下り、 6台の改札機へと吸い込まれていきます。 通常、終点駅は先頭車の奥に改札口が ありますから、先頭車側が混雑しますが 、ニューシャトルは編成の横に幅広い 階段があって、その先に改札機が並んで いるため、個々の車両の混雑度が平準化 されるという特徴があります。 ニューシャトルの大宮駅は、単に 「小回りが利く」という技術自慢の 場所ではありません。 限界ギリギリの線形と人の流れを デザインしたすぐれたターミナル駅です。 この両輪が揃うことで、大宮という 巨大な都市の血流は今日も休むことなく 、スムースに保たれています。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 2メートルを超える幅広ドア ― 空港の「日常」を街の「日常」へ繋いだ設計思想

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 2メートルを超える幅広ドア ― 空港の「 日常」を街の「日常」へ繋いだ設計思想 です。 私たちが日本で日々利用する通勤電車の ドア幅は、1.3mが標準です。 国内のAGT車両に関しても、ワンドア車 が1.3m、ツードア車では1.1mが一般的 です。 しかし、海外のAGTに目を向けると、 そこでは2メートルを超える幅広ドアの 車体が一般的になっています。 シンガポールのセンカン・プンゴル線や ブキットパンジャン線、 バンコクのゴールドラインなど海外の AGTのドア幅は2m以上あります。 ドアという「穴」を大きくすればする ほど、車体の剛性を保つのが困難になる ジレンマに突き当たります。 事実、ドア幅は2m前後が構造上の限界 とされており、海外のAGTはこの境界線 ギリギリを攻めた設計となっています。 車体強度と引き換えにしてまで手に入れ たかったのは、一切の停滞を許さない 圧倒的な「流動性」でした。 なぜ、これほどまでに広いドアが必要 だったのでしょうか。 その理由は、海外のAGTが空港向け APM(Airport People Mover)と 車体設計を共通化しているからです。 APMの使命は、飛行機から一度に降りて くる「巨大なキャリーケースを持った 群衆」を、スムースにさばくことにあり ます。 空港では「当たり前」の光景である、 巨大な荷物を持った群衆の流動性。 その「空港の日常」を支える設計思想を 、そのまま都市の日常に持ち込んだのが 海外のAGTです。 広いドアは、旅行者だけでなく、 ベビーカーや車椅子、そして急ぐ通勤客 を等しく受け入れ、駅での停車時間を 最小化するのにつかわれます。 大きな荷物を持った人々をさばく空港の 「当たり前」の機能に、座席をプラスし て街中へと連れ出したのが、 海外のAGTなのです。 空港の便利さをそのまま街に持ち込む。 そんな工夫が、あの開放的なデザインを 支えています。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 銀色に輝く「天然の鎧」 ― アルミ無塗装ボディが都市の輸送力を変える

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 銀色に輝く「天然の鎧」 ― アルミ 無塗装ボディが都市の輸送力を変える です。 都会のビル群を縫うように走る ゆりかもめ。 そのシルバーの車体は、単なるコスト 削減ではなく、都市の景観を軽やかにし、 輸送効率を極限まで高めるための 「高度な設計思想」の結晶なのです。 ゴムタイヤで走るAGTにとって、 「軽量化」は輸送の質を左右する 最重要課題です。 一般的な鉄道車両のような塗装仕様に すると、パテと塗料だけで1両あたり 約100kg、乗客2人分に相当する重さが 加わってしまいます。 これを解消するのが、三菱重工の誇る 「アルミ無塗装ボディ」です。 まず、摩擦攪拌接合(FSW)という 高度な技術で、溶接跡のないフラットな 車体を組み上げます。 その表面に「自動洗車機」のような 設備でステンレス製ブラシを高速回転 させ、あえて微細な傷をつける 「ヘアライン加工(目粗し加工)」を 施します。 すると数日後、アルミの表面には 「天然の鎧」とも呼べる強固な酸化皮膜 が形成され、塗装なしでも錆からボディ を守るようになるのです。 この「100kgの軽量化」へのこだわりは 、社会に大きな価値をもたらします。 車体が軽くなった分、同じインフラの まま、より多くの人々を運べるように なるからです。 実際にゆりかもめの新型車両では、 徹底した軽量化によって1編成あたりの 輸送力を約80人も増加させることに 成功しました。 これは、イベント時の積み残しという 都市のストレスを解消する大きな力と なっています。 また、車両が軽ければ走行電力量も 削減でき、部品の寿命も延びるため、 環境に優しく持続可能な「都市の血流」 を維持できるのです。 ヘアライン加工が生み出す鈍い銀色の 輝きは、過酷な海風にさらされる 環境でも、10年、20年と色褪せる ことはありません。 日本の「ものづくり」が生んだこの 銀色の鎧は、ゆりかもめだけでなく、 日暮里・舎人ライナー、ニューシャトル で、人々の快適な毎日を守り続けていま す。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • ニューシャトルの「ヤドカリ軌道」が拓く未来の都市

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は ニューシャトルの「ヤドカリ軌道」が 拓く未来の都市 です。 巨大な新幹線の高架が街を貫くとき、 そこには騒音や分断といった課題が 生じます。 ニューシャトルは、まさにその新幹線 建設における地域への補償と利便性向上 を目的として、 新幹線と同時に計画・施工されました。 国家プロジェクトとしての「大動脈」 と、地域の足としての「毛細血管」を 一つの構造体に統合するという、 高度な社会的・技術的解決策でした。 新幹線の橋脚を見上げると、 そこには当初の設計段階からAGTを 支えるためのカンチレバーが力強く 突き出しています。 AGTの軌道桁にはコンクリートではなく 鉄骨を採用することで軽量化を図って います。 また、駅舎を軌道から切り離し、 地上から伸びるパイプで支える 独立構造としたのも、新幹線の振動を 駅に伝えず、かつ限られた空間で 双方の機能を両立させるための緻密な 配慮が施されています。 この「最初から一体で造る」という 思想は、現代の都市開発において大きな 示唆を与えます。 新幹線や高速道路の計画段階から、 その構造物の一部にAGTの走行スペース を組み込んでおくことで、後から土地を 買い直すことなく、建設費を劇的に抑え た公共交通の導入が可能になります。 これは、限られた予算で都市機能を 最大化しなければならない途上国に とっても、極めて有効な先進的モデル と言えるでしょう。 ニューシャトルの「ヤドカリ軌道」は、 単なる物理的な工夫ではなく、 地域社会との共生を形にしたものです。 既存の、あるいはこれから造られる 巨大インフラを「単一の目的」で終わら せず、複数の価値を重ね合わせる。 この持続可能な一体開発の精神こそが、 成熟した都市が目指すべき公共交通の 姿なのかもしれません。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 駅を起点に「街」が広がる ― パークアンドライドが繋ぐ都市の血流

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 駅を起点に「街」が広がる ― パーク アンドライドが繋ぐ都市の血流 です。 駅と自宅の距離は、私たちの生活の質を 大きく左右します。 徒歩圏内か、それともバスが必要か。 この「ラストワンマイル」をいかに 快適に繋ぐかが、都市交通の真価を問う ポイントです。 AGTは、単なる移動手段ではありません。 車や自転車と公共交通を幸せに共存させ、 都市の利便性を周辺地域へと拡張させる 「結節点」としての役割を担っています。 2008年に開業した日暮里・舎人ライナ ー(9.7km、13駅)は、この課題に 「密度」で応えています。 特筆すべきは、各駅の周辺に2~3か所 もの駐輪場を完備している点です。 全駅合わせると区営だけで一時預かり 約600台、定期約1500台、 合計で2100台を超える圧倒的な収容力 を誇り、これまでのAGTとは一線を画し ています。 この「空きがある」という安心感こそが 、利用者の毎朝の心理的ストレスを 軽減する、目に見えないインフラの質と なっています。 この利便性は、もはや行政の枠に留まり ません。 終点の見沼代親水公園駅には、 すぐそばの県境を越えて埼玉県川口市 から訪れる利用者が数多く存在します。 さらに、ニューシャトルの終点・内宿駅 の駐車場や、ゆいレールのてだこ浦西駅 に見られる多層のパークアンドライド (P&R)用駐車場は、周辺の新興住宅地 にとって大きな「セールスポイント」と なっています。 P&Rは、駅から離れた住民をも 「都市の血流」へと引き込み、 地域全体の価値を高める装置なのです。 パークアンドライド設備は、 単なる「車を止める場所」ではありませ ん。 AGTは徒歩圏内の住人だけでなく、 より遠くの住民をも幸福にする持続可能 なインフラへと進化します。 駅を起点に、街はもっと広がっていける。 AGTはその「揺るぎない足元」を これからも支え続けます。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 街を縫う「小回りの天才」-ゴムタイヤ地下鉄とAGTを分ける設計思想

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 街を縫う「小回りの天才」-ゴムタイヤ 地下鉄とAGTを分ける設計思想 です。 札幌の地下鉄とAGT。どちらも 「ゴムタイヤ」で走ることで、 鉄輪の鉄道には難しい急勾配を スムーズに走行できるという 共通の強みを持っています。 しかし、その足元には、 都市における役割を決定づける 驚くべき構造の差が見えてきます。 決定的な違いは、車輪を支える 「軸」の数にあります。 札幌のゴムタイヤ地下鉄は、 鉄道と同じ「2軸ボギー構造」 (1両4軸)を採用し、 重厚な安定感で大量輸送を支えています。 北海道ファンマガジンさんのサイトから 写真をお借りしました。 一方、AGTは「1軸構造」(1両2軸)が 基本です。 さらに最新のAGT(ゆりかもめ7300系 など)では、案内輪からの入力を受けて 台車ごと転向する「新形式ボギー台車」 へと進化しています。 この新技術により、案内操向機構を 簡素化して信頼性を高めつつ、 車体幅を広げて輸送力を向上させる ことに成功しました。 なぜAGTは、タイヤ1本あたりの 荷重制限が厳しくなる1軸構造や、 ボギー機構にこだわるのでしょうか? その答えは、「最小回転半径30m以下」 という小回り性能にあります。 この機動力があれば、交差点の上空で 90度方向を変える高架軌道を、既存の 道路幅の中に収めることができます。 2軸構造の地下鉄では難しいこの 急カーブが、AGTなら可能です。 つまり、周辺の建物を壊したり、 住民に立ち退きをお願いしたりすること なく、既存の街の形を維持したまま 新しい「都市の血流」を作れるのです。 既存の道路上空という未利用スペースを 有効活用し、都市の隙間を縫うように 走る設計。 それは、開発段階から 日本の技術者たちが追求した 「小回り性能」が、結果として 「街と人の暮らしを守る」という 大きな価値を生んでいるのです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

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