top of page

検索結果

Search this site

232件の検索結果が見つかりました

  • なぜAGTだけが「無人」で走れるのか? ― 30mの高架から「歩いて逃げられる」という決め手

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は なぜAGTだけが「無人」で走れるのか? ― 30mの高架から「歩いて逃げられる」 という決め手 です。 45年前にAGTが登場した際、無人運転の 主目的は「人件費の削減」でした。 しかし現代、深刻な運転士不足が現実と なり、無人運転は単なるコスト削減策で はなく、インフラを「動かし続ける」た めの生命線へとその意義を変えています。 実は、日本の鉄道の多くは「完全無人」 になれません。 地下鉄では、火災などの非常時に乗客を 誘導するスタッフの同乗が義務付けられ ており、技術的には可能でも制度上 「運転士付き自動運転」にとどまって います。 それでは、AGTと同じ高架を走る モノレールはどうして無人運転が難しい のでしょうか。 その理由は、高架からの脱出が乗客だけ では難しいからです。 それに比べ、AGTは車両の前後に設けら れた非常口や非常階段から乗客が軌道に 降り、軌道を歩いて近くの駅まで避難する ことができます。 この「自力で安全に避難できる構造」 という具体的な設計の違いこそが、 完全無人運転を可能にする法的根拠と なっているのです。 この「無人」の強みが最も発揮されるの が、イベント時の増発です。 通常の鉄道なら何ヶ月も前から運転士の シフトの調整が必要ですが、AGTなら 車両さえ整備されていれば、スイッチ 一つで柔軟に列車を増やせます。 運転士不足に悩むことなく、需要の波を 飲み込める機動力こそが、AGTの大きな 優位性です。 「無人」という選択は、決して冷たい 合理化ではなく、人手不足という社会課題 に対する誠実な回答です。 いつでも確実に走り続け、時代の変化に 寄り添う。 AGTの構造に秘められた知略は、 これからの都市インフラが生き残るための 重要なヒントを示しています。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • なぜ「ゆりかもめ」は、芝浦ふ頭で大きな円を描くのか? ― 30mを登るための、対照的な二つの解決策

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は なぜ「ゆりかもめ」は、芝浦ふ頭で大き な円を描くのか? ― 30mを登るための 、対照的な二つの解決策 です。 レインボーブリッジをゆりかもめで渡る 際、左右で全く景色が異なることに 気づいていますか? お台場側は「600mの真っ直ぐな坂」で すが、新橋側(芝浦ふ頭)は「巨大な ループ」を描いています。 同じ30mの高低差を克服するために、 なぜこれほど対照的な姿をしているのか。 そこには、限られた都市のスペースを いかに有効活用するかという、現実的な 設計上の判断がありました。 お台場側は、50‰(1000mで50m登る 勾配)という急坂を直線で登り切ります。 これに対し、土地に余裕のない芝浦側で 採用されたのが、直径270mのループで す。 「急カーブに強い」というAGTの特性を 活かすことで、お台場側の約半分の 専有面積で、同じ高さを昇降しています。 既存の建物を壊さず、道路や港湾機能を 維持したまま線路を通すための、機能的 な選択だったのです。 そもそも、なぜこれほど高い場所 (桁下60m)まで登る必要があった のでしょうか。 それは、かつての世界最大級の客船、 クイーンエリザベス二世号などを橋の 下に通すためでした。 船を通すために橋を高くし、その高い 橋に接続するためにループを作る。 当時の最先端のニーズに合わせた設計で したが、皮肉にも現代のクルーズ船は さらに巨大化し、60mの高さでも くぐれないものが増えています。 その結果、橋の外側に 「東京国際クルーズターミナル駅」と いう新しい拠点が作られましたが、 大型船が接岸しない日は、静かな風景が 広がっています。 橋をくぐるために作られたループと、 橋をくぐれなくなった現代の巨大船。 この景色は、インフラがその時々の 最適解を求めて形を変え、時代の変化を 受け止め続けてきた跡でもあります。 次にこの円を通るとき、足元の曲線に 刻まれた都市の歴史を感じてみてくださ い。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • なぜ「単線」が最強の選択なのか? ― レオライナーとユーカリが丘線が示す、単線AGTの持続可能性

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 なぜ「単線」が最強の選択なのか? ― レオライナーとユーカリが丘線が示す、 単線AGTの持続可能性 です。 1日の利用者が2〜3千人。 この数字だけを見れば、多くの人は 「バスで十分じゃないか」と思うかも しれません。 しかし、そこにはバスでは絶対に解決 できない「都市のジレンマ」があります。 その答えを握るのが、日本に10路線ある AGTの中で、あえて「単線」を選んだ 2つの異端児、レオライナーとユーカリ が丘線です。 単線で運行を回すには、緻密な 「すれ違いの設計」が不可欠です。 西武山口線(レオライナー)は、 両端の駅から同時に出発した車両が、 路線のちょうど真ん中でピタリと すれ違うことで、単線運行を成立させて います。 一方、ユーカリが丘線はユニークな 「ラケット型」のループ線を採用し、 柄の付け根にあたる駅ですれ違う構造 です。 単線の採用は、建設費と保守費を劇的に 抑え、永続的に路線を守るための戦略的 選択です。 なぜ、そこまでして単線の軌道を維持 するのか。 それは「バスには真似できない質」を 届けるためです。 レオライナーは、イベント終了時に吐き 出される「バスでは到底捌ききれない」 爆発的な観客を、AGTの輸送力で飲み込 みます。 また、デベロッパーが運営する ユーカリが丘線は、 鉄道という「時間が正確なインフラ」が あるからこそ、沿線の地価を高く保ち 続けています。 単線という「持続可能なサイズ」への ダイエットこそが、街の価値を維持する ための戦略的な投資なのです。 複線が当たり前、スピードが速いのが 当たり前。そんな常識を捨て、 街の身の丈に合わせた「単線」で 走り続ける。 次にこの2路線に乗るときは、 すれ違いの瞬間に注目してみてください。 そこには、無理をせず、しかし決して 妥協せずに街を守り続ける、インフラの 誠実な姿が映っているはずです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 開放的な「展望席」に潜むリスクと、インフラを支える「見えない壁」 ― AGTと女性運転士の安全を守るために

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 開放的な「展望席」に潜むリスクと、 インフラを支える「見えない壁」 ― AGTと女性運転士の安全を守るために です。 AGTの最前列は、子供たちが目を輝かせ て景色を楽しむ特等席です。 しかし、習熟運転などのマニュアル運転 のために操作パネルが開かれるとき、 そこは日本で最も「無防備な運転席」へ と姿を変えます。 私は電車に乗ると運転席の後ろから 路線の様子を見るのが好きですが、 最近ではニューシャトルやユーカリが丘 線などの有人運転路線でも、女性運転士 の活躍を目にする機会が増えました。 有人運転のAGTやモノレールには、 乗客と運転士を隔てるしっかりとした 「仕切り壁」が存在します。 しかし、無人運転を前提としたAGT車両 には、その壁がありません。 普段は乗客が座っている座席のパネルを 開いて運転台にするため、運転士のすぐ 後隣に乗客がいるという、物理的に きわめて「ゼロ距離」な環境なのです。 この開放感はAGTの魅力ですが、 習熟運転中の運転士、特に女性運転士に とっては、心無い乗客とのトラブルや セクハラのリスクに直面する場所でも あります。そのため、現在は運転席横の 補助席に別の職員が添乗したり、 後方にロールカーテンを下ろしたり、 仕切り棒を設けたりして安全を確保しな ければならないのが実情です。 現在、バス業界をはじめとする公共交通 全体で、深刻な運転士不足が課題となっ ています。 女性運転士の採用増に向け、防犯カメラ の設置や休憩室の整備など、女性が安心 して働ける環境づくりが急ピッチで進め られています。 AGTが追求してきた「運転室をなくして 空間を広げる」という合理的な設計が、 皮肉にも「人間が介在する際」の障壁に なっているという側面は否定できません。 インフラを支える「人」を守るための 投資は、もはや福利厚生ではなく、 公共交通を持続させるための必須条件で す。 利用者にとっての「ハーフマイルの 優しさ」を追求するAGTだからこそ、 運行を支える側にとっても優しい システムであるべきです。 景色を遮る壁をなくしたAGTの美しさを 維持するためには、物理的な壁の代わり に、社会全体で働く人をハラスメントか ら守る「見えない壁」を築いていく 必要があるのではないでしょうか。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 天井裏の22mmが拓く「都市のゆとり」 ― コンパクトさと快適さを両立する超薄型照明の革新

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 天井裏の22mmが拓く「都市のゆとり」 ― コンパクトさと快適さを両立する 超薄型照明の革新 です。 AGTの車内に一歩足を踏み入れたとき、 ふと天井を見上げてみてください。 そこには、凹凸のない滑らかな面が 広がり、眩しさを抑えた優しい光が 空間を包み込んでいます。 この圧倒的な開放感を支えているのが、 今回ご紹介する厚さわずか22mmの 「超薄型LED照明」です。 AGTのトンネルの高さは走行面から わずか3.5メートルと、非常にコンパク トに設計されています。 走行面から車両の床までの高さは、 約1.1メートルありますので、 車両床から屋根までの高さを 2.2メートル以下に抑える必要がありま す。 その限られた空間の中で「乗客の頭上の 余裕(ヘッドクリアランス)」を 1mmでも確保したいという切実な課題が ありました。 そのため、照明メーカーと車両メーカー が協力し、LED光源を端部に配置して 反射板と拡散フィルムで光を回す 「エッジライト方式」を初めて車両に 採用しました。 これにより22mmという極限の薄さと、 LEDの粒が見えない均一な面発光という 、美しさと機能性の両立に成功したので す。 なぜ、これほどまでに薄さにこだわる のでしょうか。 視点を街全体に広げてみると、 この22mmが持つ「社会的な価値」が 見えてきます。 AGTの採用によってトンネルを小さく できるということは、都市部での建設 コスト削減や工期の短縮に直結します。 つまり、超薄型照明は、都市インフラを スリムにするという「社会の合理性」と、 25㎜しかない天井裏スペースに埋め込む ことによって、天井の滑らかな仕上がり を実現し車内を広く保つという 「人の快適性」という、相反する二つの 要素を繋ぐラストピースなのです。 ゆりかもめ7300系で初採用されたこの 技術は、その後、ニューシャトル、 日暮里・舎人ライナー、アストラム ラインなど、全国のAGTへと広がって います。 限られた空間を機械のためではなく 「人のため」に開放する。 この22mmの革新は、今日も都市の空を 少しだけ広く、そして明るく照らし 続けています。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 都市を呼吸させる「60km/h」の鼓動 ― 効率と優しさを両立するAGTの最適速度

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 都市を呼吸させる「60km/h」の鼓動 ― 効率と優しさを両立するAGTの最適速度 です。 鉄道と比べると、AGTの「最高速度 60km/h」という数字は少し控えめに 感じるかもしれません。 しかし、実際に先頭車両に座って街を 駆け抜けてみると、そこには数字以上の 「速さ」と、小気味よい「リズム」が あることに気づきます。 日本のAGT路線の平均駅間距離は、 約890mです。駅を出て最高速度まで 一気に加速したかと思えば、心地よい 重力を感じながらすぐに次の駅への 減速が始まります。 この「フル加速と即減速」のキビキビと した反復は、重厚な鉄道車両には 真似できない、身軽なAGTならではの 軽快なステップであり、都市の鼓動 (パルス)そのものです。 なぜ、あえて60km/h以上の速度を 目指さないのでしょうか。 それは、都市を走る軽量なシステムと して、最も経済的な運行を追求した 結果です。 一般的な電車用モーターは時速40km/h 付近から加速する力が低下し始め、 さらに空気抵抗も速度の2乗に比例して 増大していきます。 駅間が約900mという短い区間において、 これらの物理的な制約と「車体の軽さ」 を天秤にかけ、最もエネルギー効率を 最大化できるポイントを探ると、 自ずと60km/hという「黄金のバランス」 が導き出されるのです。 スピードを追求して駅を遠ざけるのでは なく、あえて速度を抑えて街に細かく 駅を配置し、誰もが気軽に移動できる リズムを守ること。 60km/hという穏やかな速度は、 車窓から街の表情を楽しみ、 市民の生活リズムに寄り添うための AGTの誠実な選択なのです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 鉄道の常識を脱ぎ捨てた「一方向」の美学 ― ピーチライナーが挑んだ、究極のコスト低減

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 鉄道の常識を脱ぎ捨てた「一方向」 の美学 ― ピーチライナーが挑んだ、 究極のコスト低減 です。 ピーチライナーの車両を眺めると、 ある決定的な違和感に気づきます。 それは、鉄道車両が当然のように 備えている「前後どちらにも進める」 という汎用性を、潔く切り捨てている 点です。 主運転席は編成の一端にしかなく、 ドアも片側に集約された 「方向固定の非対称設計」。 この構造は、後戻りを想定しない、 いわば線路の上を走る 「軌道走行に特化したバス」としての 顔を持っていたのです。 終点駅に到着し乗客を降ろした列車は、 一般的な電車のように運転士が前後を 移動して折り返すのではなく、 駅後方のループ線をぐるりと 1 周し、 自ら向きを変えて再びホームへと戻って くるのです。 この旋回こそが、車両から余分な 運転台やドアを削ぎ落とすことを可能に した、ピーチライナーの運用システムの 心臓部でした。 なぜ、これほどまでに一方向性に こだわったのか。 その背景には、ニュータウンの足として 「いかに建設費と運営費を極限まで 抑えるか」という、公共交通の 持続可能性への執念がありました。 4 両編成の「連結バス」という 設計思想に、ユーカリが丘線に続き 日本で2番目の「センターガイド方式」 を組み合わせたこのシステムは、 従来の重厚な鉄道インフラとは一線を 画す、軽やかで合理的な都市交通の 実験だったのです。 2006 年に日本で唯一の廃線 (AGTブログ194参照)という苦い 記録を残しましたが、その設計思想は 今、形を変えて再評価されるべき時を 迎えています。 無駄を削ぎ落とし、特定の環境に 特化させることで効率を最大化する。 ピーチライナーが遺した 「一方向の合理性」という思想は、 これからの都市が求めるスマートな モビリティへの大きなヒントを今も 発信し続けています。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 足元の「第三軌条」が空を広げる ― AGTが実現した、視界を遮らない都市デザイン

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 足元の「第三軌条」が空を広げる ― AGTが実現した、視界を遮らない 都市デザイン です。 AGTの先頭車両に座り、前方の景色を 眺めてみてください。 そこには、一般的な鉄道にあるはずの 「空を切り裂く電線」も 「視界を遮る電柱」もありません。 視界の先に広がるのは、 真っ直ぐに伸びる軌道と、 どこまでも続く広い空。 この圧倒的な開放感を生み出している のは、車両の屋根の上ではなく、 実は「足元」に隠されたパンタグラフ なのです。 AGTでは、ワイヤー状の架線ではなく 「第三軌条」と呼ばれる板状の架線から 電気を取り込んでいます。 通常、鉄道の象徴ともいえる パンタグラフを車両の床下に配置した ことで、車両全体の高さを抑え、 スマートな外観を実現しました。 この「目に見えない場所」での 給電システムが、乗客の目に映る 「スッキリとした高架軌道」という 贅沢な景色を支えています。 かつて、銀座線や丸の内線などの 地下鉄で採用された第三軌条は、 線路に転落した際の感電という リスクを伴うものでした。 しかし、全自動無人運転のAGTは、 当初から天井まであるフルスクリーン タイプのホームドアをセットで導入しま した。 人間が物理的に軌道へ入り込めない 空間設計にしたことで、 第三軌条は「危険な技術」から 「景観と効率を両立する理想的な技術」 へと昇華されたのです。 まさに、第三軌条はAGTというシステム と出会うことで、その真のポテンシャル を解放されたといっても過言ではありま せん。 このシステムの信頼性は、 緊急時の連動にも現れています。 もしもの時、乗客が避難のために先頭の 非常扉を開くと、 無線システム(非常発報)によって 自動的に第三軌条の電源が落ちる 仕組みになっています。 足元の小さなパンタグラフが、 都市の空を市民に返し、 同時に目に見えない安全の網で私たちを 守っている。 AGTは、技術の連動によって 「優しく、美しい都市」を描き続けて いるのです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 視線が突き抜ける、開放的な回廊 ― ゴムタイヤが変えたAGTの「車内風景」

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 視線が突き抜ける、開放的な回廊 ― ゴムタイヤが変えたAGTの「車内風景」 です。 一般的な鉄道に乗っていて、車両間を 仕切る重いドアを「鬱陶しい」と感じた ことはありませんか? 一方で、多くのAGT車両の貫通路には、 あのドアがありません。 先頭車両に立ってふと後ろを振り返るときし 、数両先の最後尾の窓から、遠ざかって いく都市の景色が真っ直ぐに目に飛び 込んできます。 この視線が突き抜ける圧倒的な 「透明性」は、高架を走るAGTならでは の贅沢な光景です。 通常、鉄道の貫通路にドアがある大きな 理由の一つは、連結部の幌から侵入する 騒音を遮断し、車内環境を向上させる ためです。 特に鉄の車輪とレールが擦れる一般的な 鉄道では、カーブを曲がる際に耳を劈 (つんざ)くような激しい「軋り音」 が発生するため、その騒音を遮断する ドアが不可欠となります。 しかし、ゴムタイヤで走るAGTは、 急カーブであってもあの不快な金属音を 発生させることがありません。 遮るべき「軋り音」そのものがない。 この足元の技術的特性が、 物理的な仕切りをなくし、 列車全体を一つの大きな「静かな部屋」 へと変えることを可能にしたのです。 なぜ、AGTにはドアが不要で、 地下鉄には必須なのでしょうか。 そこには、都市が守るべき 「安全の論理」があります。 地下鉄の場合、トンネル内での火災発生 時に煙を遮断し、延焼を防ぐ目的で 貫通路ドアの設置が義務付けられていま す。 そのため、路線の一部が地下区間となっ ているアストラムラインには、 AGTで唯一、貫通路ドアが設置されて います。 このドアの有無は、その路線が置かれた 環境(地下という密閉空間か、地上と いう開放空間か)において、 どのような安全基準を優先しているかを 示す指標でもあるのです。 騒音をドアで封じ込めるのではなく、 そもそも騒音を出さないという設計思想 。 仕切りのない貫通路は、 AGTがゴムタイヤという技術によって 「静かな移動」を実現し、 都市の景観や人々の身体感覚に寄り添っ ていることの証です。 私たちは今日も、この開放的な回廊を 通り抜ける柔らかな光を感じながら、 都市の最短距離を軽やかに駆け抜けて いきます。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • スタジアムの熱狂を日常へ繋ぐ ― 西武山口線「L00系」が拓く、41年目の新標準

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 スタジアムの熱狂を日常へ繋ぐ ― 西武山口線「L00系」が拓く、 41年目の新標準 です。 1985年の誕生以来、日本の新交通シス テムの「標準」の礎となってきた西武 山口線(レオライナー)の8500系。 41年という長い歴史を経て、ついに 新型車両「L00系」へとそのバトンが 渡されました。 この更新は、単なる車両の置き換えでは ありません。 ベルーナドームという巨大な集客装置が 生み出す「熱狂」を、いかにスムーズに 日常へと還していくかという、 都市デザインの最適解への挑戦です。 新型L00系の設計には、徹底した 「流動性」への執念が宿っています。 特筆すべきは、座席数を120席から 56席へと半分以下に削減した ロングシート化の決断です。 一見するとサービス低下に思えるかも しれませんが、これにより10%の軽量化 を達成し、逆に満車人数を10% (396人から436人)増やすことに 成功しました。 さらにドア幅を従来の1100mmから 1300mmへと18%拡大し、1枚扉から 2枚扉へ変更した点も見逃せません。 この数センチの拡大が、試合終了後に 一斉に駅へ押し寄せる観客の乗降時間の 短縮に貢献しています。 混雑時の快適性を左右する空調設備も 劇的に進化しました。 クーラー能力を 30%増強しただけでなく、冷風が直接 乗客に当たる「直吹き方式」から、 車内全体の温度を均一化する 「ダクト方式」へと変更。 満員電車特有の不快な温度ムラを解消 しようとする設計者の微細な配慮が、 イベントの余韻を壊さない 「心地よい移動」を支えています。 アストラムライン7000系の実績を 土台に、西武山口線特有の課題である 「ベルーナドームのイベント終了後の 積み残し解消」に正面から挑んだL00系 。 技術の細部を積み上げ、社会的な 使命を果たすこの車両は、 これからの40年、西武沿線における 「新しい標準」として街に溶け込んで いくはずです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 「ラストワンマイル」は遠すぎる― 超高齢社会に寄り添う「ハーフマイル」の知恵

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 「ラストワンマイル」は遠すぎる― 超高齢社会に寄り添う「ハーフマイル」 の知恵 です。 交通問題や物流の文脈で、 最寄りの駅から自宅までの区間を指す 「ラストワンマイル」という言葉を よく耳にします。 しかし、都市の日常を歩く私たちにとっ て、この「1.6km(ワンマイル)」と いう距離は、本当に適切な基準なので しょうか。 ワンマイル(1.6km)を普通に歩くと、 二十数分もの時間がかかります。 元気な若者ならまだしも、 高齢者や重い荷物を持つ人にとって、 20分を超える歩行はもはや移動という 名の「労働」です。 膝への負担や息切れを感じながら、 遠くの駅を目指す心理的ハードルは 決して低くありません。 対して、AGTの標準的な駅間距離である 「800m前後」はどうでしょうか。 これはワンマイルの半分、すなわち 「ハーフマイル」です。 歩いて10分ちょっと。 この距離なら、駅の気配を身近に感じな がら、街の景色を楽しみつつ無理なく 歩き通せる「心地よい散策」の範囲に 収まります。 実は、AGTが長年守り続けてきたこの 800mという距離設定は、 図らずも未来の超高齢社会における 「最適解」を先取りしていました。 ワンマイル先の駅へ行くために自転車や パーソナルモビリティを導入する議論も 盛んですが、最も本質的な解決策は、 インフラの側が「歩ける距離」まで歩み 寄ることではないでしょうか。 ハーフマイル(800m)ごとに駅がある。 その設計こそが、高齢者が社会とのつな がりを諦めず、自らの足で歩き続けられ る「優しい都市」の骨格となります。 これからの社会に向けて、既存の駅の 位置を、この「ハーフマイル」という 身体感覚を基準に見直していく必要が あるように思います,。 「ラストワンマイル」から 「ハーフマイル」へ。 視点を少し変えるだけで、都市はもっと 歩きたくなる場所に変わるはずです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • リバーシブルな機動性 ― 四輪操舵が支える、都市インフラの「信頼」と「ゆとり」

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は リバーシブルな機動性 ― 四輪操舵が支 える、都市インフラの「信頼」「ゆとり」 です。 街中を走る一部の高級車が、 旋回性能を高めるために採用している 「四輪操舵(4WS)」システム。 しかし、私たちの頭上を走るAGTに とって、この技術は単なる贅沢品では ありません。 誕生当初から欠かすことのできない、 都市の狭い空間を自在に走り抜けるため の「生存戦略」でした。 乗用車の4WSは、後輪の舵角はわずかで、 あくまでコーナリング性能の向上が目的 です。 対して、AGTの四輪操舵は極めて ダイナミックです。 AGTは「前進も後進も同じ速度」で走る というリバーシブルな特性が要求される ため、前後輪が同じ角度で、 かつ反対方向に操舵される仕組みが 不可欠なのです。 この走りを支える技術は、初期の 「リンク方式」から、現在は 「ボギー方式」へと進化を遂げています。 ボギー方式への転換は、 単なる方式の変更以上の価値をもたらし ました。 ボギー方式の最大の利点は、 リンク方式に比べて部品点数を 大幅に減らせることにあります。 部品が少ないことは、そのままシステム の「高い信頼性」へと直結します。 故障が許されない都市の公共交通に とって、このシンプルかつ強固な構造こ そが、住民との「絶対に止まらない」と いう約束を守る鍵となっています。 さらに、この方式は「車体幅を広く 取れる」という副次的でありながら 大きなメリットも生み出しました。 ボギー方式の採用によって生まれた 数センチのゆとりが、毎日の通勤・通学 における乗客の「快適性」を底上げして いるのです。 四輪操舵システムの採用と、 ボギー方式への技術革新。 それは、AGTが都市の「信頼」と 「快適」を、台車の細部から愚直に積み上 げてきた歴史そのものです。 リバーシブルな機動性を持つこの台車が、 今日も都市の血流を淀みなく循環させて います。 次回のAGTブログもお楽しみに!

© 2022 AGT研究所

bottom of page