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ブログ記事(230)
- なぜ「ゆりかもめ」には2つの顔があるのか? ― 日本人が知らない“夏の記憶”を運ぶデザイン
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は なぜ「ゆりかもめ」には2つの顔が あるのか? ― 日本人が知らない “夏の記憶”を運ぶデザイン です。 お台場を走る「ゆりかもめ」。 そのフロントフェースは、私たちが冬に よく目にするユリカモメの「白」を基調 としたデザインが印象的です。 しかし、最新の第2世代車両を見比べる と、そこには明確な色の違いが存在しま す。 実はその配色の差には、日本で過ごす 大半の期間には目にすることのない、 旅立ちを控えたわずかな時期だけの 「真の姿」が託されています。 ユリカモメは渡り鳥です。 11月に日本へやってくる時は頭部が 白い「冬羽」ですが、北へ戻る直前の 3月頃になると、頭部が黒褐色に生え 変わる「夏羽」へと姿を変え始めます。 写真右側の7300系は「冬の白い顔」を イメージしていますが、一方で、写真 左側の7500系は7300系に比べて 前面の濃いブルーの面積が多くなって います。 これは、春先のわずかな期間にしか 見られない希少な「夏の黒い顔」を デザインテーマとして取り入れたもの なのです。 デザイナーは、お台場の空から消えて いく季節に、遠くシベリアで生きる 彼らの生命力を、この「色彩デザイン」 で表現しようとしました。 通常、公共交通のデザインは識別性や 統一感を優先します。 しかし、ゆりかもめの第2世代が選んだ のは、マイナーチェンジを通じて 渡り鳥のあまり知られていない習性を 伝えたいという、車両デザイナーの取組 でした。 「夏の間、彼らはどこで、どんな姿で 生きているのか」。 2種類の車両がすれ違う瞬間、私たちは 単なる移動を超えて、都市と繋がって いる壮大な自然のサイクルを直感的に 受け取ることになります。 インフラが、その名の由来となった 生き物の「物語」をデザインで語り継ぐ 。 それは、合理性だけで作られた街に、 季節の奥行きと人間味を吹き込む 一つの「提案」です。 次にゆりかもめに乗る時は、ぜひ フロントフェースの色の違いに注目して みてください。 その濃いブルーの向こうに、旅立ちを 待つユリカモメたちが見つめる シベリアの夏空が広がっているかもしれ ません。 これこそが、都市交通が目指すべき 新しいホスピタリティの形ではないで しょうか。 次回のAGTブログもお楽しみに!
- なぜ「中央の席」は寒すぎたのか? ― 天井高の制約を突破した、AGT空調の進化
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 なぜ「中央の席」は寒すぎたのか? ― 天井高の制約を突破した、AGT空調 の進化 です。 夏の盛りに冷房の効いた車内へ入る 瞬間は、まさに至福の時です。 しかし、初期のツードア型AGT車両に おいて、ある特定の場所だけが 「寒すぎる」という声が上がって いました。 それは、車両中央の座席。 そこには、車両が「ワンドアから ツードアへ」と進化する過程で 取り残された、空調システムの ミスマッチが隠されていました。 ゆりかもめのツードア車が出現するまで のAGTは、両端から中央へ向けて冷風を 飛ばす方式が一般的でした。 中央のドア付近の一番混雑するエリアに 冷風が合流して下に落ちるという合理的 な設計でしたが、ツードア車では中央が 座席になったことで冷気が座席の乗客を 直撃するようになったのです。 解決策はダクト方式への変更でしたが、 天井が低いAGTでは「物理的に不可能」 とされてきました。 この壁を突き崩したのが、ゆりかもめ 第2世代車両で採用された 「横吹き出し」のダクト方式です。 冷風を真下ではなく斜め横に逃がし、 乗客に直接当てずに車内を均一に冷やす 。この工夫が、AGTの快適性を決定的に 変えたのです。 面白いのは、この「ツードア車のための 不具合対策」が、設計者の想像もしなか った展開を見せたことです。 ダクト方式による均一な温度分布が とても快適だったため、 本来課題のなかったワンドア車にまで 採用の要望が高まったのです。 アストラムライン7000系や レオライナー00系といった最新車両へ の波及は、単なる技術の横展開では ありません。 形式の枠を超え、AGTというインフラ 全体が「理想の車内環境」を追求し始め たのでした。 座る場所によって快適さが変わるという 不公平を、技術の力で一つずつ消して いく。 今回のダクト方式の進化は、まさに 都市交通としての「誠実な回答」の 一つと言えるのではないでしょうか。 直接肌に当たらない優しい冷気は、 インフラが乗客一人ひとりに等しく 寄り添おうとする設計思想の現れです。 次にAGTに乗ったとき、車内がどこでも 同じように涼しいと感じたら、それは 天井裏に隠された「見えないホスピタ リティ」のおかげかもしれません。 次回のAGTブログもお楽しみに!
- なぜ日暮里・舎人ライナーは「前後の色」を変えたのか? ― 通勤の憂鬱を「鼓舞」と「癒やし」に変える色彩デザイン
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は なぜ日暮里・舎人ライナーは 「前後の色」を変えたのか? ― 通勤の憂鬱を「鼓舞」と「癒やし」 に変える色彩デザイン です。 通勤電車のデザインといえば、 車体を貫く一本のストライプが定番です。 しかし、日暮里・舎人ライナーの 「330形」を横から眺めると、 ある奇妙な違いに気づくはずです。 日暮里側の先頭車は鮮やかな 「マゼンダ」、 対する見沼代親水公園側は穏やかな 「グリーン」。 この大胆な非対称のデザインには、 従来の鉄道車両にはなかった、 ある意図が込められています。 マゼンダは活動的な都会を、 グリーンは郊外の安らぎを象徴していま す。 朝、都心へ向かう日暮里側の扉が マゼンダなのは、仕事に向かう乗客の 気持ちを「鼓舞」するため。 逆に、夕暮れに郊外へ帰る列車の先頭が グリーンなのは、 一日の疲れを「癒やす」ためです。 単なる記号的な色分けではなく、 そこには乗客の心拍数や体温にまで 配慮したかのような、 緻密な色彩デザインが施されているので す。 従来の鉄道デザインが「両終点間を効率 的に移動させる機械」としての側面を 強調していたのに対し、 330形の試みは一石を投じています。 朝と晩で異なる表情を見せるこの列車は、 インフラが「街の感情」に同期しようと する挑戦でもあります。 移動という孤独な時間に、色彩を通じて 「いってらっしゃい」「おかえりなさい」 と語りかける。それは、効率第一の都市 交通がたどり着いた、ひとつの提案と 言えるでしょう。 次に330形を見かけたら、 その色を「自分の今の気持ち」と照らし 合わせてみてください。 ストライプをやめ、二つのシンボル カラーで寄り添う。 そのわずかな配色の違いが、 機械的な移動を人間味あふれる物語に 変えてくれます。 乗客の心に静かに訴えかけるこの 色彩デザインこそが、 これからの都市インフラが目指すべき ホスタリティの形ではないでしょうか。 次回のAGTブログもお楽しみに!
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- AGTの秘密と魅力 | AGTの総合ガイド | AGT研究所
都市交通の未来を形作る新交通システム(AGT)の秘密、技術、そして世界への影響を分かりやすい言葉で解説します。AGTがどのようにあなたの街を変革するかをご覧ください | AGT研究所 AGT の 魅力と 仕組みと 秘密のはなし AGTとは AGT(Automated Guideway Transit)は、 「新交通システム」とも呼ばれているゴムタイヤで走る中量輸送システムです。 日本では 10 のAGT路線 が毎日 50 万人以上を運んでいます。 10 路線のうち 6 路線が全自動無人運転で、4 路線が有人運転です。 ゴムタイヤ 全自動無人運転 低騒音、低振動 最小回転半径 30m アンカー 1 新着ブログ なぜ「ゆりかもめ」には2つの顔があるのか? ― 日本人が知らない“夏の記憶”を運ぶデザイン お台場を走る「ゆりかもめ」のフロントフェースに、明確な配色の違いがあるのをご存じでしょうか。よく目にする白を基調としたデザイン(7300系)は、ユリカモメの「冬羽」をイメージした姿です。一方、最新の7500系は前面の濃いブルーの面積が多く、これは春先の旅立ち直前の短い期間にしか見られない希少な「夏羽(頭部が黒褐色に生え変わる姿)」をデザインテーマにしています。 通常、公共交通は識別性や統一感を優先しますが、デザイナーはあえて微細なマイナーチェンジを通じて、渡り鳥の知られざる生態や生命力を表現しようとしました。この「色彩デザイン」を通じて、私たちは単なる移動を超えて、都市と繋がっている壮大な自然のサイクルを直感的に受け取ることになります。 インフラがその名の由来となった生き物の「物語」を語り継ぐことは、合理性だけで作られた都市に季節の奥行きと人間味を吹き込む一つの「提案」です。フロントフェースの色の違いに込められた、都市交通が目指すべき新しいホスピタリティのストーリーです。 ゆりかもめ 5 時間前 読了時間: 2分 ブログ全文を読む 新着コラム №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架 2025/11/23 都市空間において鉄道や道路の高架構造は避けがたい存在ですが、その圧迫感や景観上の課題は常に議論の的となっています。近年は、駅前再開発や沿道整備において「高架下空間の活用」や「景観との調和」が重視されるようになりました。 AGT(Automated Guideway Transit)は、こうした都市の制約条件の中で、既存道路や河川上空などの限られた空間を有効活用する発想から誕生した新しい交通システムです。軌道の大部分が高架構造で構成されており、そのデザインは都市景観との親和性を考慮して設計されています。モノレールと並んで「空中交通システム」と呼ばれますが、実際に街中で見比べると、AGTの高架はひときわ軽やかでスッキリとした印象を与えます。本コラムでは、その理由を構造面から見ていきます。 1.鉄道の高架軌道 在来鉄道や地下鉄延伸線などで見られる鉄道高架は、架線や電柱、レールを支える枕木・バラストが積み重なり、構造全体が重厚です。軌道桁も自重を支えるために厚さをを コラム全文を読む コラム記事一覧を表示 https://www.agtinstitute.info/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-09 https://www.agtinstitute.info/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-09 掲載記事 日本鉄道施設協会誌8月号 シリーズ「鉄道施設インフラの海外展開」㉜ AGT・APMの海外展開の取り組み 2023/08/02 掲載記事を読む 記事一覧を表示
- コラム | AGT研究所
AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム1:都市部の公共交通におけるAGTの位置づけ コラム2:専用軌道システムとしての意外な一面 コラム3:AGTの輸送量についての意外な一面 コラム4:ゴムタイヤ車両の特徴 コラム5:AGTの全自動無人運転 コラム6:低騒音、低振動 コラム7:AGTの路線パターン コラム8:価値あるAGT単線軌道 コラム9:AGTの軌道と道路の関係 コラム10:AGTの駅構造 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 コラム最新記事を表示 №01 都市部の公共交通におけるAGTの役割 №02 専用軌道システムとしてのAGTの特徴とは №03 AGTの輸送量についての意外な一面 №04 ゴムタイヤ車両の特徴 №05 AGTの全自動無人運転 №06 優れたAGTの低騒音、低振動 性能 №07 AGTの路 線 パ ターン №08 AGTの単線路 線 №09 AGTの 軌道と道路の関係 №10 AGTの 駅構造 №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架
- コラム_11 | AGT研究所
AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架 2025/11/23 都市空間において鉄道や道路の高架構造は避けがたい存在ですが、その圧迫感や景観上の課題は常に議論の的となっています。近年は、駅前再開発や沿道整備において「高架下空間の活用」や「景観との調和」が重視されるようになりました。 AGT(Automated Guideway Transit)は、こうした都市の制約条件の中で、既存道路や河川上空などの限られた空間を有効活用する発想から誕生した新しい交通システムです。軌道の大部分が高架構造で構成されており、そのデザインは都市景観との親和性を考慮して設計されています。モノレールと並んで「空中交通システム」と呼ばれますが、実際に街中で見比べると、AGTの高架はひときわ軽やかでスッキリとした印象を与えます。本コラムでは、その理由を構造面から見ていきます。 1.鉄道の高架軌道下 在来鉄道や地下鉄延伸線などで見られる鉄道高架は、架線や電柱、レールを支える枕木・バラストが積み重なり、構造全体が重厚です。軌道桁も自重を支えるために厚みを増し、さらに防音壁が設けられると、地上から見上げた際に“連続した壁”のような印象を与えます。その結果、柱間隔は15メートル前後と密になり、高架下空間は薄暗く閉鎖的になりがちです。近年では耐震補強のための側壁や補剛材も追加され、圧迫感が一層増しています。 写真1 架線と電柱が林立する鉄軌道の高架 写真2 薄暗い鉄軌道の高架下 2. AGTの高架 一方、AGTの高架はまったく異なる構成をしています。架線や電柱が不要で、電力は車両床下の集電装置を通じ、走行路脇の第三軌条から供給されます。これにより、上部に余計な設備がなく、外観が極めてシンプルです。 写真3 スッキリ度の高いAGTの高架 さらに、ゴムタイヤで走行するため防振構造やバラストが不要で、走行路はコンクリート床板と同レベルか、高さ250ミリのコンクリート桁を使い分けています。構造重量は鉄道高架の半分以下で、柱の間隔もおよそ30メートルと広く取ることが可能です。柱が少ない分、地上部には光が届きやすく、街並みに開放感が生まれます。 また、軽量な構造、柱の本数が少ないゆえに基礎工事が小規模で済み、都市中心部でも施工期間を短縮できます。桁内部には電力ケーブルや信号線が収められており、維持管理時も高所作業を最小限に抑えられる設計です。走行音や振動も少なく、高架下を歩いても会話を遮るような騒音を感じにくい点も、AGTならではの特長です。 写真4 軌道下にも光が注ぐAGT の高架下 写真5 AGTの第三軌条 写真6 コンクリート走行路 3.モノレールの高架 AGTとよく比較されるのが跨座型モノレールです。コンクリート製の走行桁が2本並ぶ形は一見スリムですが、車両が桁の上にまたがって走る構造上、日本の標準の桁の高さ1.5メートルに対し柱間隔は20メートルとやや密になります。柱の数はAGTの約1.5倍。外観上は軽やかに見えても、都市景観への影響はむしろ大きくなる傾向があります。 写真7 モノレールの高架 写真8 支柱が林立するモノレールの高架下 国内のモノレールには非常通路が設置されていませんが、海外では多くの路線に設置が義務付けられています。写真にあるように非常通路付きの高架軌道の幅はかなり広がり、見た目、AGTの軌道幅とあまり変わらない感じです。 写真9 モノレールの非常通路 4.高速道路の高架 高速道路の高架はさらにスケールが大きく、幅員が20メートルを超える場合も珍しくありません。防音フェンスや照明ポールが並び、構造全体が閉じた印象を与えます。車両通過時の騒音・振動も大きく、高架下は歩行者が敬遠しがちな空間となります。これに対し、AGTの高架は幅約6メートル、高さ約1.5メートルと非常にコンパクト。外観上も整然としており、周囲の街並みを遮らない“細身の構造”が印象的です。 写真9 高速道路の防音フェンスと照明ポール 5.まとめ この「軽やかな高架」は、単なる構造上の違いではありません。AGTが都市交通として小断面・軽構造・静粛性を追求して設計された成果です。建築物や道路橋と調和するよう、桁形状や色彩にも配慮がなされ、橋脚や桁端部のデザインにも地域性を反映させる事例が増えています。 都市の中で“見せる高架”を実現している点こそ、AGTのもう一つの価値といえるでしょう。 ビルの谷間をすり抜けても圧迫感がない――。 そのスッキリとした高架こそ、AGTが都市景観と共存するための最適解であり、21世紀型の都市交通インフラの姿を象徴しています。 コラムi一覧へ戻る


