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ブログ記事(214)

  • 鉄道の常識を脱ぎ捨てた「一方向」の美学 ― ピーチライナーが挑んだ、究極のコスト低減

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 鉄道の常識を脱ぎ捨てた「一方向」 の美学 ― ピーチライナーが挑んだ、 究極のコスト低減 です。 ピーチライナーの車両を眺めると、 ある決定的な違和感に気づきます。 それは、鉄道車両が当然のように 備えている「前後どちらにも進める」 という汎用性を、潔く切り捨てている 点です。 主運転席は編成の一端にしかなく、 ドアも片側に集約された 「方向固定の非対称設計」。 この構造は、後戻りを想定しない、 いわば線路の上を走る 「軌道走行に特化したバス」としての 顔を持っていたのです。 終点駅に到着し乗客を降ろした列車は、 一般的な電車のように運転士が前後を 移動して折り返すのではなく、 駅後方のループ線をぐるりと 1 周し、 自ら向きを変えて再びホームへと戻って くるのです。 この旋回こそが、車両から余分な 運転台やドアを削ぎ落とすことを可能に した、ピーチライナーの運用システムの 心臓部でした。 なぜ、これほどまでに一方向性に こだわったのか。 その背景には、ニュータウンの足として 「いかに建設費と運営費を極限まで 抑えるか」という、公共交通の 持続可能性への執念がありました。 4 両編成の「連結バス」という 設計思想に、ユーカリが丘線に続き 日本で2番目の「センターガイド方式」 を組み合わせたこのシステムは、 従来の重厚な鉄道インフラとは一線を 画す、軽やかで合理的な都市交通の 実験だったのです。 2006 年に日本で唯一の廃線 (AGTブログ194参照)という苦い 記録を残しましたが、その設計思想は 今、形を変えて再評価されるべき時を 迎えています。 無駄を削ぎ落とし、特定の環境に 特化させることで効率を最大化する。 ピーチライナーが遺した 「一方向の合理性」という思想は、 これからの都市が求めるスマートな モビリティへの大きなヒントを今も 発信し続けています。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 足元の「第三軌条」が空を広げる ― AGTが実現した、視界を遮らない都市デザイン

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 足元の「第三軌条」が空を広げる ― AGTが実現した、視界を遮らない 都市デザイン です。 AGTの先頭車両に座り、前方の景色を 眺めてみてください。 そこには、一般的な鉄道にあるはずの 「空を切り裂く電線」も 「視界を遮る電柱」もありません。 視界の先に広がるのは、 真っ直ぐに伸びる軌道と、 どこまでも続く広い空。 この圧倒的な開放感を生み出している のは、車両の屋根の上ではなく、 実は「足元」に隠されたパンタグラフ なのです。 AGTでは、ワイヤー状の架線ではなく 「第三軌条」と呼ばれる板状の架線から 電気を取り込んでいます。 通常、鉄道の象徴ともいえる パンタグラフを車両の床下に配置した ことで、車両全体の高さを抑え、 スマートな外観を実現しました。 この「目に見えない場所」での 給電システムが、乗客の目に映る 「スッキリとした高架軌道」という 贅沢な景色を支えています。 かつて、銀座線や丸の内線などの 地下鉄で採用された第三軌条は、 線路に転落した際の感電という リスクを伴うものでした。 しかし、全自動無人運転のAGTは、 当初から天井まであるフルスクリーン タイプのホームドアをセットで導入しま した。 人間が物理的に軌道へ入り込めない 空間設計にしたことで、 第三軌条は「危険な技術」から 「景観と効率を両立する理想的な技術」 へと昇華されたのです。 まさに、第三軌条はAGTというシステム と出会うことで、その真のポテンシャル を解放されたといっても過言ではありま せん。 このシステムの信頼性は、 緊急時の連動にも現れています。 もしもの時、乗客が避難のために先頭の 非常扉を開くと、 無線システム(非常発報)によって 自動的に第三軌条の電源が落ちる 仕組みになっています。 足元の小さなパンタグラフが、 都市の空を市民に返し、 同時に目に見えない安全の網で私たちを 守っている。 AGTは、技術の連動によって 「優しく、美しい都市」を描き続けて いるのです。 次回のAGTブログもお楽しみに!

  • 視線が突き抜ける、開放的な回廊 ― ゴムタイヤが変えたAGTの「車内風景」

    AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 視線が突き抜ける、開放的な回廊 ― ゴムタイヤが変えたAGTの「車内風景」 です。 一般的な鉄道に乗っていて、車両間を 仕切る重いドアを「鬱陶しい」と感じた ことはありませんか? 一方で、多くのAGT車両の貫通路には、 あのドアがありません。 先頭車両に立ってふと後ろを振り返るときし 、数両先の最後尾の窓から、遠ざかって いく都市の景色が真っ直ぐに目に飛び 込んできます。 この視線が突き抜ける圧倒的な 「透明性」は、高架を走るAGTならでは の贅沢な光景です。 通常、鉄道の貫通路にドアがある大きな 理由の一つは、連結部の幌から侵入する 騒音を遮断し、車内環境を向上させる ためです。 特に鉄の車輪とレールが擦れる一般的な 鉄道では、カーブを曲がる際に耳を劈 (つんざ)くような激しい「軋り音」 が発生するため、その騒音を遮断する ドアが不可欠となります。 しかし、ゴムタイヤで走るAGTは、 急カーブであってもあの不快な金属音を 発生させることがありません。 遮るべき「軋り音」そのものがない。 この足元の技術的特性が、 物理的な仕切りをなくし、 列車全体を一つの大きな「静かな部屋」 へと変えることを可能にしたのです。 なぜ、AGTにはドアが不要で、 地下鉄には必須なのでしょうか。 そこには、都市が守るべき 「安全の論理」があります。 地下鉄の場合、トンネル内での火災発生 時に煙を遮断し、延焼を防ぐ目的で 貫通路ドアの設置が義務付けられていま す。 そのため、路線の一部が地下区間となっ ているアストラムラインには、 AGTで唯一、貫通路ドアが設置されて います。 このドアの有無は、その路線が置かれた 環境(地下という密閉空間か、地上と いう開放空間か)において、 どのような安全基準を優先しているかを 示す指標でもあるのです。 騒音をドアで封じ込めるのではなく、 そもそも騒音を出さないという設計思想 。 仕切りのない貫通路は、 AGTがゴムタイヤという技術によって 「静かな移動」を実現し、 都市の景観や人々の身体感覚に寄り添っ ていることの証です。 私たちは今日も、この開放的な回廊を 通り抜ける柔らかな光を感じながら、 都市の最短距離を軽やかに駆け抜けて いきます。 次回のAGTブログもお楽しみに!

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その他のページ(19)

  • コラム | AGT研究所

    AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム1:都市部の公共交通におけるAGTの位置づけ コラム2:専用軌道システムとしての意外な一面 コラム3:AGTの輸送量についての意外な一面 コラム4:ゴムタイヤ車両の特徴 コラム5:AGTの全自動無人運転 コラム6:低騒音、低振動 コラム7:AGTの路線パターン コラム8:価値あるAGT単線軌道 コラム9:AGTの軌道と道路の関係 コラム10:AGTの駅構造 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 コラム最新記事を表示 №01 都市部の公共交通におけるAGTの役割 №02 専用軌道システムとしてのAGTの特徴とは №03 AGTの輸送量についての意外な一面 №04 ゴムタイヤ車両の特徴 №05 AGTの全自動無人運転 №06 優れたAGTの低騒音、低振動 性能 №07 AGTの路 線 パ ターン №08 AGTの単線路 線 №09 AGTの 軌道と道路の関係 №10 AGTの 駅構造 №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架

  • コラム_10 | AGT研究所

    都市交通の効率化と快適性を追求するうえで、AGTの駅構造は重要な要素です。本コラムでは、AGTの駅構造に焦点を当て、その特徴と利点を解説します。 目次 1.日本のAGTの駅構造 2.プラットホーム形式 3.途上国向け駅構造 4.コンコース無しの対向式プラットホーム AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №10 AGTの駅構造 2025/03/31  都市交通の効率化と快適性を追求するうえで、AGTの駅構造は重要な要素です。本コラムでは、AGTの駅構造に焦点を当て、その特徴と利点を解説します。 1.日本のAGTの駅構造  日本のAGTの多くの駅は、1階が道路の中央分離帯とその中に建てられた複数の柱、2階にコンコース、3階に島式のプラットホームを配置した3層構造になっています。 写真1a 代表的なAGTの3層構造駅 写真1b 中央分離帯に建てられた駅を支える柱  1981年に開業した日本で最初のAGTであるポートライナーから、ニュートラム、シーサイドライン、六甲ライナー、ゆりかもめ、日暮里・舎人ライナーの全ての全自動無人運転の路線が、この3層構造で島式プラットホームの駅を採用しています。  道路の中央に高架軌道を設けることが多いAGTは、駅も道路の中央に設置されます。 駅では道路の両側の歩道から利用者を一旦コンコース階に上げ、中央の改札口から更に上にあるプラットホームに上げる役割をコンコース階は果たしています。 そのため、AGTとコンコース階は切ってもきれない関係にあると言えます。 写真2コンコース階の改札口 2.プラットホーム形式    ゆりかもめは写真4a、4bの竹芝駅を除き全ての駅が写真3a、3bの島式プラットホームを採用していますが、写真4a、4bの対向式のプラットホームに比べプラットホームの幅が広くとれるのが特長です。 写真3a 島式プラットホーム駅 写真3b 島式プラットホーム 写真4a 対向式プラットホームの竹芝駅 写真4b 竹芝駅の対向式プラットホーム  島式プラットホームはまた、不案内の乗客が方向を間違えてプラットホームに上がっても、一旦コンコース階まで降りて反対のプラットホームに移動する必要がなく、対向式プラットホームに比べてユーザーフレンドリーな構造といえます。観光客の多いゆりかもめのような路線にはうってつけです。  AGTで対向式プラットホームを採用している路線は、1983年開業のニューシャトル、1982年開業のユーカリが丘線、1985年開業の西武山口線の3路線しかありません。しかもこれらの駅はコンコース階なしの簡素な構成です。  その後、コンコース付きの駅が主流となったのは、1986年ごろに始まったバブル景気の動きに合わせ、設備が高級化していった影響があると考えられます。 3.途上国向け駅構造  BRTやLRTより輸送量が多く、鉄道よりは建設費が少なくて済むAGTの導入検討を途上国から求められた際、日本で一般化しているこの建設費のかさむコンコース付き駅がネックになります。コンコース付き駅の建築費は、土木建築費用全体の20%前後を占めるほど大きな割合です。そこでコンコース付き駅の代わりにコンコース無し駅の出番です。コンコース階がまるごとなくなるので、建設費をかなり抑えることができます。 更に、プラットホームを対向式プラットホームにすることによって途上国特有の問題を解決することができます。日本でも高度成長時代に都市の鉄道のあちこちで編成車両の増加に伴うプラットホーム延長が必要になりました。人口増加のスピードが速い途上国ではこの列車長を長くする必要が高い確率で起こるため、プラットホームの延長が可能な対向式プラットホームが向いています。 島式プラットホームではプラットホームの延長は困難なためです。 4.コンコース無しの対向式プラットホーム 日本のAGTでコンコース無しの対向式プラットホームを採用している路線としてニューシャトルがあります。  1983年に開業したマニュアル運転の路線ですが、低コストをコンセプトに設計・建設されましたので、途上国にマッチした仕様に溢れています。 写真5a 対向式プラットホームでコンコース無しの駅 写真5b 対向式プラットホームでコンコース無しの駅  写真5a、5bにあるように地上階とプラットホーム階がエレベータと階段で直接つながっています。  地上では、写真5cのような簡易型の改札が使われています。 写真5c コンコース無し駅の地上部にある簡易改札口  ニューシャトル以降、日本でコンコース無しの対向式の駅が採用されなくなった理由は、バブル景気による高級化だけでなく、同じころ、バリアフリー化が重要視されるようになり、エレベータが必須となりました。そうなると島式のプラットホームはエレベータ設備が1機で済みますが、対向式の場合は2機必要となります。ところが、コンコース付き駅ですとコンコースと上のプラットホームに1台、コンコースと両歩道の間に2台、合計3台のエレベータが必要となります。それに対し、対向式では、上下線プラットホームと地上との連絡に2台のエレベータで済みます。  バリアフリー上、エレベータは必須な設備ですが、エレベータがあればエスカレータは省略可能です。  このような理由で途上国向けの駅の形式として需要増大に簡単に対応できるコンコース無しの対向式プラットホームの簡便な構造が推奨されるようになってきています。 コラムi一覧へ戻る

  • コラム_08 | AGT研究所

    AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム_08では、AGTの日本国内の単線路線の特徴を事例を交えてご紹介します。 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №08 AGTの単線路線 2023/8/2 1.日本の単線AGT路線 10路線ある日本のAGTのなかで、ユーカリが丘線と西武山口線の路線が単線軌道で、残りの8路線が複線軌道です。 8つの複線路線のなかには、ニューシャトルとポートライナーのように複線と単線が混じっている路線があります。 ユーカリが丘線と西武山口線は、1日の利用者が2千から3千人の小規模な路線で、単線でも十分、需要を満足させることができています。 ユーカリが丘線の路線は、ラケット型をしていて、柄の付け根の部分にあたる公園駅で車両が行違うようになっています。 西武山口線の路線は、両終点駅を車両が同時に出発して、中間の信号所で行違うようになっています。 一方、ニューシャトルは、大宮寄りの9駅間が複線で、残りの4駅4.5kmが単線の組み合わせになっています。 単線の4駅全てが行違い可能駅になっており、ゴムタイヤを使ったAGTの加減速の良さを生かして駅間を全速力で走り、複線にも引けを取らない輸送力を得ています。 ポートライナーは、市民公園駅から中埠頭駅を通って中公園駅に戻る3駅2.6kmが単線軌道になっています。 ポールとその先端の旗のような形をしたポートライナーの路線は、旗の部分が単線で、ポールの部分が複線という組み合わせになっています。 中公園駅前の単線と複線の接続部は単線軌道が複線軌道を乗り越えてから複線軌道に合流するという、きついカーブと勾配の組み合わさったAGTならではの線形です。 2.単線・複線混合路線 さほど多くない輸送量に見合ったユーカリが丘線や西武山口線の単線路線は、軌道構造もAGTで一般的な高架軌道ではなく地上軌道で建設され、建設と運営・保守のコスト低減が徹底されています。 それに対し、ニューシャトルやポートライナーの単線・複線混合路線は、一部に単線区間を用いながら、全線複線路線にひけをとらない輸送量を確保するための工夫がなされています。 新幹線の軌道を離れ、独自の軌道となっているニューシャトルの丸山と終点の内宿の間の単線区間は、開業時に路線の末端側の沿線開発が進んでいなかったため、建設費や路線保守費の負担低減のために単線とした路線ですが、駅間距離を1.1キロメーターに揃え、全駅で行違いができるようになっていて、ピーク時間帯とオフピーク時間帯で運転間隔が異なるのを、行違い箇所を変えて調整することができるようになっており、将来の輸送量増大の対応が可能になっています。 複線区間の新幹線軌道を利用した軌道構造といい、単線区間の輸送力の高さといい、ユニークさでは群を抜いています。 延伸計画が公表されているアストラムラインも、6駅7.1kmの延伸部を単線とする計画です。 懸垂型モノレールの湘南モノレールは、8駅6.6㎞の全線単線の路線ですが、行違い可能駅が全体の半分の4駅あり、7分間隔で1日3万人を余裕で運んでいます。 ポートライナーの単線が通る地域は、普通ですと路線バスによってカバーされますが、ポートライナーでは、単線を敷設して、輸送需要に応じた車両を単線区間に回すことで、建設費や路線保守費の負担軽減と住民の利便性を両立させる調整が可能になっています。 今回ご紹介した4つの単線路線のうち3路線は運転士によるマニュアル運転ですが、ポートライナーは全自動無人運転です。 たとえ有人運転であっても、ATCによって正面衝突などの事故が起こることはありませんが、地上軌道のユーカリが丘線や西武山口線は無理としても、全線高架軌道のニューシャトルは、全自動無人運転化が比較的簡単に可能です。 また、現在有人運転となっているアストラムラインも、地下鉄区間を除き、全自動無人運転化が可能です。 3.まとめ ニューシャトル型の単線は、AGTの加減速の良さを生かし、複線並みの輸送力の確保を狙ったもので、広島のアストラムラインの延伸路線計画に影響を与えています。 湘南モノレールの実績から明らかのように、毎日の利用者が3万人程度の路線であれば、低コストで建設、運営が可能な全自動無人運転の全線単線のAGT路線が可能です。 ポートライナー型の単線は、幹となる複線の周辺に輸送需要の多い地域があった場合、AGTの小カーブと急勾配に強い特徴を生かした複雑な軌道形状を用いて、複線の任意の位置から単線軌道を分岐し、また任意の位置で複線に合流させることで定時性、速達性、安全性の揃った高いクオリティの輸送サービスを住民に提供することが可能です。 将来、ポートライナー型の単線の既存路線への適用提案ができればと考えています。 コラムi一覧へ戻る

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