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ブログ記事(224)
- なぜ六甲ライナーは「時代に逆行する形」を選んだのか? ― 空間を解き放つ「パイプの造形」
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 なぜ六甲ライナーは「時代に逆行する 形」を選んだのか? ― 空間を解き放つ 「パイプの造形」 です。 2005年の福知山線事故以降、日本の 通勤電車から「パイプ状の袖仕切り」が 姿を消しました。 衝突時の怪我を防ぐため、多くの鉄道が 「大型の板状プレート」へと切り替えた のです。 この流れはAGT(新交通システム)の 第二世代車両にも波及しました。 ゆりかもめ7300系を筆頭に、多くの 最新車両が選んだのは「透明な強化ガラ ス」による仕切りです。 視線を遮らずに閉塞感を解消する このアプローチは、安全性と開放感を 両立させる、非常に理にかなった現代の 最適解といえます。 そんな「ガラスの時代」に、あえて 一本のシンプルなパイプへと立ち返った のが、2018年登場の六甲ライナー 3000形です。 一見、旧世代への退歩に見えますが、 そこにはAGTの特性を冷静に分析した 計算があります。 AGTは「踏切ゼロの専用軌道」を 「時速60km以下」で走るため、 他列車や自動車との衝突リスクが 理論上極めて低いのです。 万が一の衝撃を最小限に抑えられると いう絶対的な確信があるからこそ、 ガラス板ですら「空間を仕切る壁」とし て削ぎ落とすことが可能になりました。 六甲ライナーが選んだのは、標準化 された安全基準ではなく、自らの環境を 科学して導き出した「能動的な安全」 です。 仕切りを最小限のパイプに留めることで 、車内には物理的にも視覚的にも 「壁」が存在しない、圧倒的に広々と した空間が生まれました。 この細いパイプ一本には、 「過剰な防壁を廃し、乗客に真の自由を 届ける」という都市インフラとしての 誠実な知略が込められているのです。 「ガラスによる透明性」か、 「パイプによる空間の連続性」か。 これはどちらが優れているかという 議論ではなく、その街が、そのインフラ が、乗客に何を届けたいのかという 決意の差です。 次に六甲ライナーに乗るときは、 その細いパイプの向こう側に広がる、 遮るもののない景色と開放感を感じて みてください。 その「究極のシンプル」こそが、 六甲アイランドという街が選んだ、 最高のおもてなしなのです。 次回のAGTブログもお楽しみに!
- なぜポートライナーはロングシートを止めてクロスシートを選んだのか?
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は なぜポートライナーはロングシートを 止めてクロスシートを選んだのか? です。 1人でも多く運ぶことに腐心する都市 鉄道において、効率の象徴である 「ロングシート」をあえて捨てた路線が あります。 それが、日本初のAGTとして走り続ける ポートライナーです。 第2世代車両で彼らが選んだのは、 意外にも「クロスシート(前向き座席)」 への転換でした。 この一見「非効率」な決断の裏には、 神戸という街の新しい戦略が隠されて います。 このシートアレンジの背景にあるのは、 神戸空港連絡線という第1世代には なかった新しい機能です。 飛行機を降り、最初にこの街に触れる 乗客たち。 彼らに、高架軌道というAGTならではの 高い視点から、躍動するハイテク都市・ 神戸のパノラマを堪能してもらうこと。 それが、この座席に込められた設計思想 です。 ただ移動するだけでなく、街を好きに なってもらう。 クロスシート配列に、神戸の風景を贈る という誠実なホスピタリティが刻まれて います。 一方で、他の路線は異なる正解を選んで います。 日暮里・舎人ライナーが「究極の効率」 を求めてロングシートを貫く一方で、 大阪のニュートラムは、あえて左右非 対称の配列で「立席面積の最大化」の 挑戦をしています。 座席数が減り、サービス低下と表裏一体 の面もありますが、これらもまた 「ラッシュ時の混雑を凌ぐ」という 切実なニーズへの一つの回答です。 座席の向き一つにも、その街が乗客に 何を届けたいのかという「知略」が 込められています。 次にポートライナーに座るときは、 ぜひ眼下に広がる景色を楽しんで ください。 クロスシート配列は、神戸という街が あなたを歓迎している証なのです。 次回のAGTブログをお楽しみに!
- なぜ「ゆりかもめ」では脚を投げ出す人が少ないのか? ― 快適さを科学した「6度の秘密」
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 なぜ「ゆりかもめ」では脚を投げ出す人 が少ないのか? ― 快適さを科学した 「6度の秘密」 です。 通勤電車で、通路に投げ出された脚に 躓きそうになったことはありませんか? 「マナーを守りましょう」という呼びか けだけでは解決しないこの問題。 実は「ゆりかもめ7300系」には、 言葉を使わずにこの課題を解決する、 驚くべき秘密が隠されています。 その秘密は、通勤車両で初めて採用され た「G-Fit」というシートの形状にあり ます。 最大の特徴は、座面の前縁を後ろ側より 「6度」高く設定していることです。 人間は、このわずか6度の傾斜がある 座面で脚を前に投げ出そうとすると、 構造上「踵が浮く」ようになっています。 踵が浮くと座り心地が不安定になるため、 乗客は無意識のうちに踵を自分の方へ 引き寄せ、自然と「行儀のよい姿勢」に 導かれるのです。 これは単なる「姿勢矯正」ではありませ ん。 脚が通路からはみ出さないことで、 車内には「見えない余白」が生まれます。 混雑時でもスムーズに移動でき、 キャリーバッグも通りやすくなる。 「マナーを強制する」のではなく、 デザインの力で「自然に譲り合える空間」 を創り出す。 これこそが、都市インフラが目指すべき 誠実な解決策です。 座面の微妙な角度一つで、街の空気は もっと優しくなれる。 この「6度」の傾斜は、乗客の快適さを 守るための緻密な計算の結晶です。 次に「ゆりかもめ」に座るとき、 その足元に込められた「都市の知略」を ぜひ感じてみてください。 次回のAGTブログもお楽しみに!
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- AGTの秘密と魅力 | AGTの総合ガイド | AGT研究所
都市交通の未来を形作る新交通システム(AGT)の秘密、技術、そして世界への影響を分かりやすい言葉で解説します。AGTがどのようにあなたの街を変革するかをご覧ください | AGT研究所 AGT の 魅力と 仕組みと 秘密のはなし AGTとは AGT(Automated Guideway Transit)は、 「新交通システム」とも呼ばれているゴムタイヤで走る中量輸送システムです。 日本では 10 のAGT路線 が毎日 50 万人以上を運んでいます。 10 路線のうち 6 路線が全自動無人運転で、4 路線が有人運転です。 ゴムタイヤ 全自動無人運転 低騒音、低振動 最小回転半径 30m アンカー 1 新着ブログ なぜ六甲ライナーは「時代に逆行する形」を選んだのか? ― 空間を解き放つ「パイプの造形」 2005年の福知山線事故以降、日本の鉄道では衝突時の安全を確保するため、座席端に大型の板状仕切りを採用するのが主流となりました。ゆりかもめ7300系などの最新AGT車両も、透明な強化ガラスを用いることで安全性と視覚的な開放感を両立させる、現代の最適解を選んでいます。 しかし、2018年に登場した六甲ライナー3000形が選んだのは、あえて時代に逆行するかのような「一本のシンプルなパイプ」でした。この決断の裏には、AGTの特性を冷静に分析した緻密な計算があります。踏切のない専用軌道を時速60km以下で走るAGTは衝突リスクが極めて低く、その絶対的な確信があるからこそ、ガラス板という「壁」すらも削ぎ落とすことが可能になったのです。 標準化された基準に留まらず、自らの環境を科学して導き出したこの「能動的な安全」は、車内に物理的・視覚的な遮りのない、圧倒的に広々とした空間をもたらしました。過剰な防壁を排し、乗客に真の自由と開放的な景色を届ける。この「究極のシンプル」こそが、六甲アイランドという街が選んだ誠実な知略であり、最高のおもてなしなのです。 六甲ライナー 5 時間前 読了時間: 2分 ブログ全文を読む 新着コラム №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架 2025/11/23 都市空間において鉄道や道路の高架構造は避けがたい存在ですが、その圧迫感や景観上の課題は常に議論の的となっています。近年は、駅前再開発や沿道整備において「高架下空間の活用」や「景観との調和」が重視されるようになりました。 AGT(Automated Guideway Transit)は、こうした都市の制約条件の中で、既存道路や河川上空などの限られた空間を有効活用する発想から誕生した新しい交通システムです。軌道の大部分が高架構造で構成されており、そのデザインは都市景観との親和性を考慮して設計されています。モノレールと並んで「空中交通システム」と呼ばれますが、実際に街中で見比べると、AGTの高架はひときわ軽やかでスッキリとした印象を与えます。本コラムでは、その理由を構造面から見ていきます。 1.鉄道の高架軌道 在来鉄道や地下鉄延伸線などで見られる鉄道高架は、架線や電柱、レールを支える枕木・バラストが積み重なり、構造全体が重厚です。軌道桁も自重を支えるために厚さをを コラム全文を読む コラム記事一覧を表示 https://www.agtinstitute.info/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-09 https://www.agtinstitute.info/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-09 掲載記事 日本鉄道施設協会誌8月号 シリーズ「鉄道施設インフラの海外展開」㉜ AGT・APMの海外展開の取り組み 2023/08/02 掲載記事を読む 記事一覧を表示
- コラム_05 | AGT研究所
AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム_05では、AGTの自動運転システムの特徴について解説しています。 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №05 AGTの全自動無 人運転 2022/12/08 1.全自動無人運転の起源 AGTの起源は、1975年10月に米国で運行を開始したモルガンタウンPRT(Personal Rapid Transit)です モルガンタウンPRTは、20人乗りの小型の車両ですが、当初から全自動無人運転で運行されました。 日本でもその影響を受けて、車両メーカー各社が全自動無人運転の小型車両の開発を始めました。 1979年のオイルショックを経て1981年に運行開始したポートライナー線は、各社の試作車が小型の単車構成だったものから、経済性を優先させた6両編成の中型車両の電車構成になったものの、全自動無人運転の車両としてデビューしました。 ポートライナー初代(左)、現在(右) ポートライナーに続く2番目のAGTとして運行を開始した南港ニュートラムも全自動無人運転車両でした。 ニュートラム初代(左)、現在(右) その後日本では、六甲ライナー、横浜シーサイド、ゆりかもめ、日暮里・舎人ライナーの合計6つのAGT路線が全自動無人運転で運行されています。 上左:六甲ライナー、上右横浜シーサイド 下左:ゆりかもめ、下右:日暮里・舎人ライナー 2.鉄道の自動運転の取り組み こうして、日本では全自動無人運転の実績を40年以上積み重ねてきましたが、最近、ようやく鉄道でも自動運転の試験走行が始まりました。 AGTで40年も前に実現した全自動無人運転が、何故鉄道では今頃になって動き始めたのでしょうか。 鉄道の自動運転化が遅れた一番大きな理由は鉄道の場合、レールと車輪のすべり摩擦係数が晴天と雨天の場合に異なるため、駅で決まった位置に毎回きちんと止まりにくいことにあります。 AGTの場合、コンクリートの走行路の上をゴムタイヤで走りますので、雨天の場合も晴天と同じ精度で決まった位置に停止できる点が大きく違います。 鉄道の場合でも、地下鉄でしたら、雨の影響を受けないので、地下鉄では比較的早く、全自動無人運転が行われています。 シンガポールのノースイーストラインは、2002年にアジアで最も早く全自動無人運転が始まった路線です。 また、地下鉄でなくても、リニアモータを用いた車両を用いる路線では、制動距離が短い特徴を生かして地上路線でも全自動無人運転が行われています。 1998年に運転を開始したマレーシア クアラルンプールのKelana Jaya線がそれです。 この路線は、都心部が地下鉄でそれ以外は高架軌道となっています。 最近は、海外で地上路線の全自動無人運転が増えてきています。 ロンドンのドックランドラインはその一つです。 ドックランド線 レールと車輪の粘着係数だけでなく、車両の重量の変化も、定点停止精度に影響しますので、数多くのデータをとりながら、徐々に自動運転化を進めていく必要があります。 3.鉄道の無人化 AGTの自動運転は完全無人運転ですが、日本の鉄道の自動運転は有人の運転にとどまります。 AGTのプラットホームは屋根まであるプラットホームドアで完全に仕切られ、人が軌道内に入り込むことができなくなっていますが、鉄道は、人間が軌道内に立ち入る可能性があるため、運転士が軌道前方を見張る必要があるからです。 前方監視カメラによって障害物を検知しても鉄道はゴムタイヤのAGTより制動距離が長いため、より遠くの障害物を確実に検知することが要求されます。 更に、軌道に踏切があるような路線では、自動運転は可能でも完全無人転化は難しいでしょう。 そのため、運転士が運転台のスタートボタンを押すことで加速、減速し次の駅に自動的に止まるというものにとどまっています。 この方式をとっているのは、多摩都市モノレールやリニア地下鉄の七隈線などがあります。 日本では、6路線しか全自動無人運転路線はありませんが、海外では41のAPMと呼ばれる空港のゴムタイヤの路線が全自動無人運転の実績を誇っています シンガポールで全自動無人運転の地下鉄が20年も前に実用化されているのに、なぜ日本の地下鉄で全自動無人運転化が進んでいなのでしょうか。 それは、韓国の大邱地下鉄放火事件が2003年にあって日本では、地下鉄の無人運転化が許されていません。 そのため、自動化しても七隈線のように運転士が搭乗することになっています。 このように自動化しても無人運転化できないのであれば、かけたコストに見合うコスト削減が得られないため、自動化の機運が盛り上がらなかったためと思われます。 そんなわけで、地下鉄よりも先に全線高架の鉄道路線で全自動無人運転化が実現する可能性があります。 4.まとめ AGTは、世界で50年、日本で40年を超える全自動無人運転の歴史があります。 日本では、毎日約46万人が全自動無人運転のAGTを利用していますが、これまで1件も死亡事故を発生させたことがないシステムであることは、もっと認識されてもよいのではないでしょうか。 コラムi一覧へ戻る
- Agt研究所について | Agt研究所
AGT研究所(AGT Institute)は、 AGT(新交通システム)の魅力や特徴について、 交通関係者だけでなく広く一般の方にも、 AGTにまつわるさまざまな話題をお伝えするブログと AGTの特徴について詳しくお伝えするコラムで、 知っていただくために設立された研究所です。 AGTに研究所ついて AGT研究所(AGT Institute)は、 交通関係者だけでなく、広く一般の方にAGTについて知っていただくために、 増川正久が主宰者となり設立した研究所です。 一般の方にAGTについて知って頂くために、 AGTにまつわるさまざまな話題をブログとして毎週発行します。 また、AGTの特徴についてお伝えするコラムを隔月発行します。 皆様からのAGTに関するご質問にも、できる限りお答えできればと考えています。


