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ブログ記事(190)
- 日本のAGTはなぜ「乗り心地が良く経済性が高い」のか?―台車方式の違いから見える設計思想―
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は 日本のAGTはなぜ「乗り心地が良く 経済性が高い」のか? ―台車方式の違いから見える設計思想― です。 新交通システム(AGT)は世界各地に ありますが、その「足もと」である 台車の構造には、国ごとの考え方の 違いがはっきり表れています。 実は、この違いこそが乗り心地や 経済性を大きく左右しています。 たとえば、アメリカで1971年に 登場した最初のAGT、ウエスティング ハウス社のAPMは、中央に1本の ガイドレールを置き、それを両側の 案内輪で挟む「センターガイド方式」。 一方、ヨーロッパではガイドレールを 左右に設けて案内輪を常に密着させて 走る「サイドガイド方式」が主流です。 安定感は高いものの、摩耗や抵抗が 大きく、電力消費や保守コストがかさむ 傾向にあります。 ところが日本のAGTは、同じサイドガイ ド方式でも発想がまったく異なります。 直線区間では案内輪がガイドレールに 密着せず、数ミリのすき間をあけたまま 走行するように設計されています。 路面の凸凹などでタイヤがわずかに 斜めを向いても、自らまっすぐ進もうと するタイヤのもつ「セルフアライニング トルク」という性質により、レールに 触れずに安定して直進するのです。 この「なるべく触れず、必要なときだけ 支える」という繊細な思想が、 摩耗を抑え、ガイドレール調整の手間を 減らし、省エネと長寿命を実現していま す。 モノレールのようにゴムタイヤの 案内輪を常時コンクリートガーターに 押し付けて走る方式では高速走行時に 左右の揺れが生じやすいのに対し、 日本のAGTは、高速でもしなやかで 静かな走りが特徴です。 結果として、日本のAGTは 「乗り心地が良く経済性が高い」交通 システムとして評価され、 開発途上国での導入を後押しする存在と なっています、 次回のAGTブログもお楽しみに!
- 平地はLRT、坂道はAGT――広島の街に学ぶ交通の知恵
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 平地はLRT、坂道はAGT――広島の街に 学ぶ交通の知恵 です。 広島市は、LRTと新交通システム (AGT)が肩を並べて走る、全国でも 珍しい都市です。 市内中心部は、戦前から続く路面電車網 。 最新型のグリーンムーバー・エイペック スが街の中心を軽やかに駆け抜け、 ビジネス街や繁華街を縫うように人々を 運びます。 広島の街並みに自然に溶け込むその姿は、 まさに“動く風景”です。 一方、北西部の高台へと続く道には、 もう一つの足—AGT「アストラムライン」 があります。 市の中心部から広がる住宅地を結ぶ路線 で、最大4.5%という急こう配を上り下 りしています。 車両が軽く、タイヤで走るAGTならでは の強みが、坂の多い地形にぴったりと 合っています。 人口百万人を超える政令指定都市は 11ありますが、川崎市、さいたま市を 除く9都市には地下鉄があります。 アストラムラインは鯉城と呼ばれる 広島城の北にある新白島駅で地下に潜り 、市中心部では3駅分が地下区間になり ます。 そのため、広島市は「地下鉄のある 政令指定都市」としても数えられていま す。 地上ではLRTが、市中心部の地下では AGTが、それぞれの持ち味を生かして 役割を分担しているのです。 平地はLRTが、坂道はAGTが。 広島では、地形に合わせて 交通システムを最適に配置することで、 都市の暮らしやすさを支えています。 交通の多様化が進む今、LRTとAGTが 共存する広島の街は、 “未来の都市交通の縮図”ともいえる でしょう。 次回のAGTブログもお楽しみに!
- 屋根上機器ゼロ」の美学――AGTが目指した快適設計
AGT研究所の増川です。 AGTブログへ、ようこそ。 今回取り上げる話題は、 「屋根上機器ゼロ」の美学――AGTが 目指した快適設計 です。 鉄道の通勤車両の屋根の上には 四角い箱のようなクーラーが置かれて います。 通勤で電車を利用する方なら、 きっと一度は目にしたことがあるでしょ う。 ところが、新交通システム(AGT)の 車両を見上げても、その姿がありません。 屋根はまっ平らで、とてもシンプル。 では、AGTのクーラーは一体どこに 隠れているのでしょうか。 答えは「分散配置」。家庭用エアコンが 室内機と室外機に分かれているのと同じ で、AGTでは室内機を天井裏に、 室外機を床下に分けて設置しています。 見た目に出てこないのはそのためです。 では、なぜ鉄道車両のように屋根の上に 置かないのでしょうか。 その理由は、国土交通省が定めた 「新交通システム基本仕様」にあります。 AGTの車両は高さ3.3メートル以内と 決められているため、屋根上に大きな 機器を載せずに屋根の高さをぎりぎり まで高くし、屋根裏にエアコンの室内 機だけを収納しています。 限られた高さの中で少しでも天井を高く とり、乗客が広々と感じられるように する――。その工夫の結果が、すっきり としたフラットな屋根なのです。 普段何気なく見上げる車両の姿にも、 実は快適性を追求した設計思想が隠れて いるのです。 次回のAGTブログもお楽しみに!
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- コラム_11 | AGT研究所
AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架 2025/11/23 都市空間において鉄道や道路の高架構造は避けがたい存在ですが、その圧迫感や景観上の課題は常に議論の的となっています。近年は、駅前再開発や沿道整備において「高架下空間の活用」や「景観との調和」が重視されるようになりました。 AGT(Automated Guideway Transit)は、こうした都市の制約条件の中で、既存道路や河川上空などの限られた空間を有効活用する発想から誕生した新しい交通システムです。軌道の大部分が高架構造で構成されており、そのデザインは都市景観との親和性を考慮して設計されています。モノレールと並んで「空中交通システム」と呼ばれますが、実際に街中で見比べると、AGTの高架はひときわ軽やかでスッキリとした印象を与えます。本コラムでは、その理由を構造面から見ていきます。 1.鉄道の高架軌道下 在来鉄道や地下鉄延伸線などで見られる鉄道高架は、架線や電柱、レールを支える枕木・バラストが積み重なり、構造全体が重厚です。軌道桁も自重を支えるために厚みを増し、さらに防音壁が設けられると、地上から見上げた際に“連続した壁”のような印象を与えます。その結果、柱間隔は15メートル前後と密になり、高架下空間は薄暗く閉鎖的になりがちです。近年では耐震補強のための側壁や補剛材も追加され、圧迫感が一層増しています。 写真1 架線と電柱が林立する鉄軌道の高架 写真2 薄暗い鉄軌道の高架下 2. AGTの高架 一方、AGTの高架はまったく異なる構成をしています。架線や電柱が不要で、電力は車両床下の集電装置を通じ、走行路脇の第三軌条から供給されます。これにより、上部に余計な設備がなく、外観が極めてシンプルです。 写真3 スッキリ度の高いAGTの高架 さらに、ゴムタイヤで走行するため防振構造やバラストが不要で、走行路はコンクリート床板と同レベルか、高さ250ミリのコンクリート桁を使い分けています。構造重量は鉄道高架の半分以下で、柱の間隔もおよそ30メートルと広く取ることが可能です。柱が少ない分、地上部には光が届きやすく、街並みに開放感が生まれます。 また、軽量な構造、柱の本数が少ないゆえに基礎工事が小規模で済み、都市中心部でも施工期間を短縮できます。桁内部には電力ケーブルや信号線が収められており、維持管理時も高所作業を最小限に抑えられる設計です。走行音や振動も少なく、高架下を歩いても会話を遮るような騒音を感じにくい点も、AGTならではの特長です。 写真4 軌道下にも光が注ぐAGTの高架下 写真5 AGTの第三軌条 写真6 コンクリート走行路 3.モノレールの高架 AGTとよく比較されるのが跨座型モノレールです。コンクリート製の走行桁が2本並ぶ形は一見スリムですが、車両が桁の上にまたがって走る構造上、日本の標準の桁の高さ1.5メートルに対し柱間隔は20メートルとやや密になります。柱の数はAGTの約1.5倍。外観上は軽やかに見えても、都市景観への影響はむしろ大きくなる傾向があります。 写真7 モノレールの高架 写真8 支柱が林立するモノレールの高架下 国内のモノレールには非常通路が設置されていませんが、海外では多くの路線に設置が義務付けられています。写真にあるように非常通路付きの高架軌道の幅はかなり広がり、見た目、AGTの軌道幅とあまり変わらない感じです。 写真9 モノレールの非常通路 4.高速道路の高架 高速道路の高架はさらにスケールが大きく、幅員が20メートルを超える場合も珍しくありません。防音フェンスや照明ポールが並び、構造全体が閉じた印象を与えます。車両通過時の騒音・振動も大きく、高架下は歩行者が敬遠しがちな空間となります。これに対し、AGTの高架は幅約6メートル、高さ約1.5メートルと非常にコンパクト。外観上も整然としており、周囲の街並みを遮らない“細身の構造”が印象的です。 写真9 高速道路の防音フェンスと照明ポール 5.まとめ この「軽やかな高架」は、単なる構造上の違いではありません。AGTが都市交通として小断面・軽構造・静粛性を追求して設計された成果です。建築物や道路橋と調和するよう、桁形状や色彩にも配慮がなされ、橋脚や桁端部のデザインにも地域性を反映させる事例が増えています。 都市の中で“見せる高架”を実現している点こそ、AGTのもう一つの価値といえるでしょう。 ビルの谷間をすり抜けても圧迫感がない――。 そのスッキリとした高架こそ、AGTが都市景観と共存するための最適解であり、21世紀型の都市交通インフラの姿を象徴しています。 コラムi一覧へ戻る
- AGTの秘密と魅力 | AGTの総合ガイド | AGT研究所
都市交通の未来を形作る新交通システム(AGT)の秘密、技術、そして世界への影響を分かりやすい言葉で解説します。AGTがどのようにあなたの街を変革するかをご覧ください | AGT研究所 AGT の 魅力と 仕組みと 秘密のはなし AGTとは AGT(Automated Guideway Transit)は、 「新交通システム」とも呼ばれているゴムタイヤで走る中量輸送システムです。 日本では 10 のAGT路線 が毎日 50 万人以上を運んでいます。 10 路線のうち 6 路線が全自動無人運転で、4 路線が有人運転です。 ゴムタイヤ 全自動無人運転 低騒音、低振動 最小回転半径 30m アンカー 1 新着ブログ 日本のAGTはなぜ「乗り心地が良く経済性が高い」のか?―台車方式の違いから見える設計思想― AGTは世界各地にありますが、その「足もと」である台車の構造には、国ごとの考え方の違いがはっきり表れていて、この違いこそが乗り心地や経済性を大きく左右しています。 アメリカでは中央に1本のガイドレールを置き、それを両側の案内輪で挟む「センターガイド方式」。 ヨーロッパではガイドレールを左右に設けて案内輪を常に密着させて走る「サイドガイド方式」が主流です。 日本のAGTは、サイドガイド方式ですが、直線区間では案内輪がガイドレールに密着せず、数ミリのすき間をあけたまま走行するように設計されていて、省エネと長寿命に優れているのが特徴です。 AGT全般 6 時間前 読了時間: 2分 ブログ全文を読む 新着コラム №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架 2025/11/23 都市空間において鉄道や道路の高架構造は避けがたい存在ですが、その圧迫感や景観上の課題は常に議論の的となっています。近年は、駅前再開発や沿道整備において「高架下空間の活用」や「景観との調和」が重視されるようになりました。 AGT(Automated Guideway Transit)は、こうした都市の制約条件の中で、既存道路や河川上空などの限られた空間を有効活用する発想から誕生した新しい交通システムです。軌道の大部分が高架構造で構成されており、そのデザインは都市景観との親和性を考慮して設計されています。モノレールと並んで「空中交通システム」と呼ばれますが、実際に街中で見比べると、AGTの高架はひときわ軽やかでスッキリとした印象を与えます。本コラムでは、その理由を構造面から見ていきます。 1.鉄道の高架軌道 在来鉄道や地下鉄延伸線などで見られる鉄道高架は、架線や電柱、レールを支える枕木・バラストが積み重なり、構造全体が重厚です。軌道桁も自重を支えるために厚さをを コラム全文を読む コラム記事一覧を表示 https://www.agtinstitute.info/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-09 https://www.agtinstitute.info/%E8%A4%87%E8%A3%BD-%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0-09 掲載記事 日本鉄道施設協会誌8月号 シリーズ「鉄道施設インフラの海外展開」㉜ AGT・APMの海外展開の取り組み 2023/08/02 掲載記事を読む 記事一覧を表示
- コラム | AGT研究所
AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム1:都市部の公共交通におけるAGTの位置づけ コラム2:専用軌道システムとしての意外な一面 コラム3:AGTの輸送量についての意外な一面 コラム4:ゴムタイヤ車両の特徴 コラム5:AGTの全自動無人運転 コラム6:低騒音、低振動 コラム7:AGTの路線パターン コラム8:価値あるAGT単線軌道 コラム9:AGTの軌道と道路の関係 コラム10:AGTの駅構造 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 コラム最新記事を表示 №01 都市部の公共交通におけるAGTの役割 №02 専用軌道システムとしてのAGTの特徴とは №03 AGTの輸送量についての意外な一面 №04 ゴムタイヤ車両の特徴 №05 AGTの全自動無人運転 №06 優れたAGTの低騒音、低振動 性能 №07 AGTの路 線 パ ターン №08 AGTの単線路 線 №09 AGTの 軌道と道路の関係 №10 AGTの 駅構造 №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架


