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- コラム_07 | AGT研究所
AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム_07では、日本のAGTの3つの路線パターンについて解説しています。 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №07 AGTの路線パターン 2023/5/16 1.AGT大国、日本 日本には1981年に運行開始したポートライナーを筆頭に、 2008年の日暮里・舎人ライナーに至るまで、全部で10のAGT路線があり、毎日58万人(2019年統計値)を超える人々が利用しています。 日本の次にAGTの路線が多いのはフランスです。リール市、トゥールーズ市、レンヌ市に6つのAGT路線があり、毎日約30万人が利用しています。日本のAGTは、路線数、利用者数共に2位のフランスを大きく離し、世界ナンバーワンで、日本はAGT大国といえます。 2.3つの路線パターン 日本のAGTの路線のパターンは大きく分けて3つのパターンに分けられます。 一つ目は、鉄道の主要駅から郊外に延びる路線です。 二つ目は二つの異なる鉄道路線の駅をつなぐ路線です。 三つめは、鉄道の主要駅から出て周辺を巡ってまた同じ駅に戻る団地の循環バスのような路線です。 3.支線 1つ目の路線パターンは、主要駅の鉄道を本線とすると「支線」という言い方をされるものです。 鉄道の主要駅を基点として、新しく開発された地域の主要交通手段を担う働きをしています。 運行開始が早い順にご紹介しますと、1981年開業のポートライナーは、8.2km、12駅、毎日の利用者は約8万人の路線です。 神戸の中心にある三宮駅を起点とし、神戸の海を埋め立てて造ったポートアイランドの主要交通機関です。 ポートアイランドには、4つの大学のキャンバスや、先端技術研究所、先端医療施設などがあり、ピーク時間帯は26本、オフピーク時間帯でも15本の列車が三ノ宮駅を発着しています。 写真の赤い橋は、六甲山麓にある神戸とポートアイランドを繋ぐ神戸大橋です。 支線の2つ目は1983年開業のニューシャトルで、12.7km、13駅、毎日の利用者は約5万2千人の路線です。 1日の利用者数が20万人の大宮駅を起点とし、埼玉県のなかでも人口増加の多い新興住宅地の主要交通機関です。 ニューシャトルは 写真に見られるように東北新幹線、上越新幹線の軌道脚を利用した構造に 特徴があります。 支線の3つ目は、1990年開業の六甲ライナーで、4.5km、6駅、毎日の利用者は約3万5千人の路線です。魚崎駅で阪神本線とも接続しています。 ポートライナーの起点の三宮駅から東に約7㎞離れた住吉駅を起点とし、海を埋め立てて造られた六甲アイランドの主要交通機関です。 AGTの高架軌道は、近代的な建物、街並みによくフィットしています。 支線の 4つ目は、1994年開業のアストラムラインで、18.4km、22駅 、毎日の利用 者は約6万6千人の路線です。 広島の本通駅を起点とし、再急勾配4.5%の急坂を登りながら広島市の北西部に広がる台地の住宅街の主要交通機関です。 新白鳥駅で山陽本線と、大町駅で可部線と接続しています。 日本最長のAGT路線であり、更に5.9%勾配のある7.1㎞の延伸を計画しています。 支線の5つ目は、2008年開業の日暮里・舎人ライナーで、9.7km、13駅、毎日の利用者は約9万1千人の路線です。 日暮里駅を起点とし、埼玉県との県境までの住宅地を通る路線で、西日暮里で東京メトロ千代田線、JR山手線、京浜東北線、宇都宮線と、熊野前駅で都営荒川線と接続しています。 日暮里・舎人ライナーが建設された尾久橋通りのバス路線は、激しい渋滞により通勤、通学時間が不規則で時間がかかっていましたが、AGTの運行開始により正確な運行時間と通勤時間短縮をもたらしました。 4.接続線 二つ目の路線パターンは、二つの異なる鉄道路線の駅をつなぐAGT路線です。 この路線パターンは、両端が鉄道駅と繋っていて、沿線には、大規模団地、工業団地、商業ビルなどが集まり、鉄道駅間の地域の価値を高めています。 まずは、1981年開業の南港ポートタウン線があげられます。 中央線のコスモスクエア駅と四ツ橋線住之江公園駅を結ぶ7.9km、10駅、毎日の利用者が約7万4千人の路線です。 コスモスクエア駅側には貿易センターを中心とするビジネスエリア、住之江公園駅側には工業団地、中間には南港ポートタウンの住宅団地が組みあわされており、朝のピーク時間帯は、地域から出る人々と地域に働きに来る人で上下線とも混雑する路線です。 接続線の2つ目は、1985年開業の西武・山口線です。 西武鉄道多摩湖線終点の多摩湖駅と狭山線終点の西武球場前駅を結ぶ2.8km、3駅の路線です。中間は西武園遊園地となっています。西武球場で試合やイベントが開催されるときは満員の乗客を運びます。 接続線の3つ目は、1989年開業の横浜シーサイドラインです。 JR京浜東北線の新杉田駅と京浜急行の金沢八景駅を繋ぐ10.8km、14駅、毎日の利用者が約5万2千人の路線です。 路線の南側には工業団地、北側には住宅団地が広がり、朝のピーク時間帯は地域から出る通勤通学の人々と地域に働きに来る人で上下線とも混雑する路線です。 接続線の4つ目は1995年開業のゆりかもめです。 新橋駅と有楽町線の豊洲駅を繋ぐ14.7㎞、16駅、毎日13万人が利用する路線です。 汐留駅で都営地下鉄大江戸線と、有明駅で臨海線と接続しています。 お台場の観光スポットや東京ビッグサイトを訪れる人の利用が多く、定期券利用者より、正規料金の収入が多い路線です。 片方が鉄道駅ではありませんが、三宮駅を起点とする支線としてご紹介したポートライナーは、神戸空港とつながっていて接続線の一種とも言えます。 5.循環線 三つ目の路線パターンは、鉄道の主要駅から出発して団地内を一周して元に戻るという循環バスのような路線です。 まずは、1983年開業のユーカリが丘線です。 京成線のユーカリが丘駅を起点とする単線4.1km、6駅、毎日の利用者が約2千人のコンパクトでシンプルな路線です。 2つ目は、三宮駅を起点とする支線としてご紹介したポートライナー線です。 市民広場駅で分岐し、島内を巡り三ノ宮駅に戻るという6.4km、9駅の一部単線区間を含むルートです。 国内では数の少ない循環路線ですが、バスに比べ時間が正確な点、信号待ちがないので早く目的地に着く点などが評価され、シンガポールでは ブキットパンジャン、 センカン、 プンゴル の3つの高密度の大団地の質の高い公共交通を担っています 6.まとめ 以上、支線パターンが5路線、接続パターンが4路線、循環パターンが2路線(ポートライナが重複)をご紹介しましたが、これらは、開業後に延伸工事を行った後の現在の姿による分類です。 延伸工事前のオリジナルの状態では、支線パターンが南港ポートタウン線とゆりかもめの2路線を加えた7路線、接続線パターンが西武山口線と横浜シーサイドラインの2路線と圧倒的に支線パターンが多いシステムでした。 それが、その後の延伸によって接続線に進化し、利便性を高め、乗客数を伸ばしています。 現在支線パターンとなっているアストラムラインも将来、JR山陽本線の西広島駅への延伸によって接続線パターンになる予定です。 このようにAGTの路線に延伸が多いのはAGTが、道路さえあれば延伸工事が可能な点が大きな特徴のシステムであることを実証しています。 コラムi一覧へ戻る
- コラム_11 | AGT研究所
AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №11 群を抜いたAGTならではのスッキリ高架 2025/11/23 都市空間において鉄道や道路の高架構造は避けがたい存在ですが、その圧迫感や景観上の課題は常に議論の的となっています。近年は、駅前再開発や沿道整備において「高架下空間の活用」や「景観との調和」が重視されるようになりました。 AGT(Automated Guideway Transit)は、こうした都市の制約条件の中で、既存道路や河川上空などの限られた空間を有効活用する発想から誕生した新しい交通システムです。軌道の大部分が高架構造で構成されており、そのデザインは都市景観との親和性を考慮して設計されています。モノレールと並んで「空中交通システム」と呼ばれますが、実際に街中で見比べると、AGTの高架はひときわ軽やかでスッキリとした印象を与えます。本コラムでは、その理由を構造面から見ていきます。 1.鉄道の高架軌道下 在来鉄道や地下鉄延伸線などで見られる鉄道高架は、架線や電柱、レールを支える枕木・バラストが積み重なり、構造全体が重厚です。軌道桁も自重を支えるために厚みを増し、さらに防音壁が設けられると、地上から見上げた際に“連続した壁”のような印象を与えます。その結果、柱間隔は15メートル前後と密になり、高架下空間は薄暗く閉鎖的になりがちです。近年では耐震補強のための側壁や補剛材も追加され、圧迫感が一層増しています。 写真1 架線と電柱が林立する鉄軌道の高架 写真2 薄暗い鉄軌道の高架下 2. AGTの高架 一方、AGTの高架はまったく異なる構成をしています。架線や電柱が不要で、電力は車両床下の集電装置を通じ、走行路脇の第三軌条から供給されます。これにより、上部に余計な設備がなく、外観が極めてシンプルです。 写真3 スッキリ度の高いAGTの高架 さらに、ゴムタイヤで走行するため防振構造やバラストが不要で、走行路はコンクリート床板と同レベルか、高さ250ミリのコンクリート桁を使い分けています。構造重量は鉄道高架の半分以下で、柱の間隔もおよそ30メートルと広く取ることが可能です。柱が少ない分、地上部には光が届きやすく、街並みに開放感が生まれます。 また、軽量な構造、柱の本数が少ないゆえに基礎工事が小規模で済み、都市中心部でも施工期間を短縮できます。桁内部には電力ケーブルや信号線が収められており、維持管理時も高所作業を最小限に抑えられる設計です。走行音や振動も少なく、高架下を歩いても会話を遮るような騒音を感じにくい点も、AGTならではの特長です。 写真4 軌道下にも光が注ぐAGTの高架下 写真5 AGTの第三軌条 写真6 コンクリート走行路 3.モノレールの高架 AGTとよく比較されるのが跨座型モノレールです。コンクリート製の走行桁が2本並ぶ形は一見スリムですが、車両が桁の上にまたがって走る構造上、日本の標準の桁の高さ1.5メートルに対し柱間隔は20メートルとやや密になります。柱の数はAGTの約1.5倍。外観上は軽やかに見えても、都市景観への影響はむしろ大きくなる傾向があります。 写真7 モノレールの高架 写真8 支柱が林立するモノレールの高架下 国内のモノレールには非常通路が設置されていませんが、海外では多くの路線に設置が義務付けられています。写真にあるように非常通路付きの高架軌道の幅はかなり広がり、見た目、AGTの軌道幅とあまり変わらない感じです。 写真9 モノレールの非常通路 4.高速道路の高架 高速道路の高架はさらにスケールが大きく、幅員が20メートルを超える場合も珍しくありません。防音フェンスや照明ポールが並び、構造全体が閉じた印象を与えます。車両通過時の騒音・振動も大きく、高架下は歩行者が敬遠しがちな空間となります。これに対し、AGTの高架は幅約6メートル、高さ約1.5メートルと非常にコンパクト。外観上も整然としており、周囲の街並みを遮らない“細身の構造”が印象的です。 写真9 高速道路の防音フェンスと照明ポール 5.まとめ この「軽やかな高架」は、単なる構造上の違いではありません。AGTが都市交通として小断面・軽構造・静粛性を追求して設計された成果です。建築物や道路橋と調和するよう、桁形状や色彩にも配慮がなされ、橋脚や桁端部のデザインにも地域性を反映させる事例が増えています。 都市の中で“見せる高架”を実現している点こそ、AGTのもう一つの価値といえるでしょう。 ビルの谷間をすり抜けても圧迫感がない――。 そのスッキリとした高架こそ、AGTが都市景観と共存するための最適解であり、21世紀型の都市交通インフラの姿を象徴しています。 コラムi一覧へ戻る
- コラム_10 | AGT研究所
都市交通の効率化と快適性を追求するうえで、AGTの駅構造は重要な要素です。本コラムでは、AGTの駅構造に焦点を当て、その特徴と利点を解説します。 目次 1.日本のAGTの駅構造 2.プラットホーム形式 3.途上国向け駅構造 4.コンコース無しの対向式プラットホーム AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №10 AGTの駅構造 2025/03/31 都市交通の効率化と快適性を追求するうえで、AGTの駅構造は重要な要素です。本コラムでは、AGTの駅構造に焦点を当て、その特徴と利点を解説します。 1.日本のAGTの駅構造 日本のAGTの多くの駅は、1階が道路の中央分離帯とその中に建てられた複数の柱、2階にコンコース、3階に島式のプラットホームを配置した3層構造になっています。 写真1a 代表的なAGTの3層構造駅 写真1b 中央分離帯に建てられた駅を支える柱 1981年に開業した日本で最初のAGTであるポートライナーから、ニュートラム、シーサイドライン、六甲ライナー、ゆりかもめ、日暮里・舎人ライナーの全ての全自動無人運転の路線が、この3層構造で島式プラットホームの駅を採用しています。 道路の中央に高架軌道を設けることが多いAGTは、駅も道路の中央に設置されます。 駅では道路の両側の歩道から利用者を一旦コンコース階に上げ、中央の改札口から更に上にあるプラットホームに上げる役割をコンコース階は果たしています。 そのため、AGTとコンコース階は切ってもきれない関係にあると言えます。 写真2コンコース階の改札口 2.プラットホーム形式 ゆりかもめは写真4a、4bの竹芝駅を除き全ての駅が写真3a、3bの島式プラットホームを採用していますが、写真4a、4bの対向式のプラットホームに比べプラットホームの幅が広くとれるのが特長です。 写真3a 島式プラットホーム駅 写真3b 島式プラットホーム 写真4a 対向式プラットホームの竹芝駅 写真4b 竹芝駅の対向式プラットホーム 島式プラットホームはまた、不案内の乗客が方向を間違えてプラットホームに上がっても、一旦コンコース階まで降りて反対のプラットホームに移動する必要がなく、対向式プラットホームに比べてユーザーフレンドリーな構造といえます。観光客の多いゆりかもめのような路線にはうってつけです。 AGTで対向式プラットホームを採用している路線は、1983年開業のニューシャトル、1982年開業のユーカリが丘線、1985年開業の西武山口線の3路線しかありません。しかもこれらの駅はコンコース階なしの簡素な構成です。 その後、コンコース付きの駅が主流となったのは、1986年ごろに始まったバブル景気の動きに合わせ、設備が高級化していった影響があると考えられます。 3.途上国向け駅構造 BRTやLRTより輸送量が多く、鉄道よりは建設費が少なくて済むAGTの導入検討を途上国から求められた際、日本で一般化しているこの建設費のかさむコンコース付き駅がネックになります。コンコース付き駅の建築費は、土木建築費用全体の20%前後を占めるほど大きな割合です。そこでコンコース付き駅の代わりにコンコース無し駅の出番です。コンコース階がまるごとなくなるので、建設費をかなり抑えることができます。 更に、プラットホームを対向式プラットホームにすることによって途上国特有の問題を解決することができます。日本でも高度成長時代に都市の鉄道のあちこちで編成車両の増加に伴うプラットホーム延長が必要になりました。人口増加のスピードが速い途上国ではこの列車長を長くする必要が高い確率で起こるため、プラットホームの延長が可能な対向式プラットホームが向いています。 島式プラットホームではプラットホームの延長は困難なためです。 4.コンコース無しの対向式プラットホーム 日本のAGTでコンコース無しの対向式プラットホームを採用している路線としてニューシャトルがあります。 1983年に開業したマニュアル運転の路線ですが、低コストをコンセプトに設計・建設されましたので、途上国にマッチした仕様に溢れています。 写真5a 対向式プラットホームでコンコース無しの駅 写真5b 対向式プラットホームでコンコース無しの駅 写真5a、5bにあるように地上階とプラットホーム階がエレベータと階段で直接つながっています。 地上では、写真5cのような簡易型の改札が使われています。 写真5c コンコース無し駅の地上部にある簡易改札口 ニューシャトル以降、日本でコンコース無しの対向式の駅が採用されなくなった理由は、バブル景気による高級化だけでなく、同じころ、バリアフリー化が重要視されるようになり、エレベータが必須となりました。そうなると島式のプラットホームはエレベータ設備が1機で済みますが、対向式の場合は2機必要となります。ところが、コンコース付き駅ですとコンコースと上のプラットホームに1台、コンコースと両歩道の間に2台、合計3台のエレベータが必要となります。それに対し、対向式では、上下線プラットホームと地上との連絡に2台のエレベータで済みます。 バリアフリー上、エレベータは必須な設備ですが、エレベータがあればエスカレータは省略可能です。 このような理由で途上国向けの駅の形式として需要増大に簡単に対応できるコンコース無しの対向式プラットホームの簡便な構造が推奨されるようになってきています。 コラムi一覧へ戻る
- Agt研究所について | Agt研究所
AGT研究所(AGT Institute)は、 AGT(新交通システム)の魅力や特徴について、 交通関係者だけでなく広く一般の方にも、 AGTにまつわるさまざまな話題をお伝えするブログと AGTの特徴について詳しくお伝えするコラムで、 知っていただくために設立された研究所です。 AGTに研究所ついて AGT研究所(AGT Institute)は、 交通関係者だけでなく、広く一般の方にAGTについて知っていただくために、 増川正久が主宰者となり設立した研究所です。 一般の方にAGTについて知って頂くために、 AGTにまつわるさまざまな話題をブログとして毎週発行します。 また、AGTの特徴についてお伝えするコラムを隔月発行します。 皆様からのAGTに関するご質問にも、できる限りお答えできればと考えています。
- コラム_04 | AGT研究所
AGTの特徴をコラム形式でご紹介するページです。 コラム_04では、ゴムタイヤを用いるAGTについて、よくご質問をいただくころがり抵抗と消費電力の関係や交換頻度などについてご説明しています。 AGTコラム AGTについて詳しくお伝えします コラム最新記事を表示 №04 ゴムタイヤ車両の特徴 2022/10/10 1.ゴムタイヤ車両の特徴 AGTは、鉄輪の代わりにゴムタイヤを用いることで低騒音、低振動を実現し、沿線の環境負荷が小さいという特徴を持ったシステムです。 2本のレールの上を走る鉄道車両は、直線区間は滑るように走りますが、 カーブでは、軋り音が発生してしまいます。 特に地下鉄では、地上の鉄道に比べ小さなカーブが多く、その分軋り音の 発生頻度と大きさが目立ちます。 昨今の感染症対策で開いた窓から軋り音が車内に入り込んできてその大きさがよくわかります。 振動についてもトラックなど一般道を走行する重量車両の振動は、直接沿線の建物に伝わりますが、AGTの場合は、高架軌道を支える構造物が振動を 吸収し、沿線の建物に与える影響は殆どありません。 2.AGTのタイヤ 日本のAGTの1車両の最大荷重は、18トンと決まっています。 車両の重量が約11トン、乗客の重量が約7トンです。 乗客の平均体重を60㎏とすると、1両に116人、6両編成で最大696人を運ぶことができます。 18トンの車両を4本のタイヤで支えるので、1本のタイヤが支える荷重は4.5トンとなります。 トラックやバスのタイヤの最大許容荷重は3トンですので、許容荷重4.5トンを必要とするAGT用タイヤには、AGT専用のタイヤが使われます。 3.タイヤのサプライヤー 日本では、このAGT用最大許容荷重4.5トン、最高速度毎時60キロメートルのタイヤを、ブリヂストン、横浜タイヤ、ミシュランの3社が供給しています。 海外では、最大許容荷重6トン、最高速度毎時80キロメートルのAGT用タイヤをミシュラン1社が独占的に供給しています。 日本のAGTの最大許容荷重は18トンですが、海外のAGTは24トンになります。 4.AGTの走行路 自動車が走る一般道にはアスファルト舗装が使われますが、AGTの軌道は一般道と違い同じ場所を同じ車両が往復しますので、アスファルト舗装では轍(わだち)ができて走行路面の基準が変化し、案内軌条や電車線の高さやホームの高さにも影響が出てしまうため、アスファルト舗装より耐圧、耐摩耗性が高いコンクリートが使われます。 コンクリートの走行路は、水はけをよくするのと、分岐部の転轍機のロッドを通すためにスラブから20センチメートルほど高く作られています。 5.タイヤの交換頻度 路線のカーブの多さ、坂の勾配の度合いや数に依りますが、日本ではタイヤを大体2年間で交換します。 日本のAGTは、例外もありますが1車両に2軸あるうちの1軸がモーターのある駆動軸、もう1軸がモーターのない従動軸となっています。 駆動軸のタイヤは摩耗して、だいたい1年で交換時期を迎えますが、従動軸のタイヤは1年間走行しても殆ど減りませんので、1年で駆動軸と従動軸のタイヤを交換し、2年もたせるのが一般的です。 海外のAGTは、1車両に2軸ある点は日本のAGTと同じですが、従動軸がなく、2軸ともモーターがついた駆動軸で、最高速度も毎時80キロメートル出ますので、約1年で4輪を交換しています。 6.タイヤのころがり抵抗 レールの上を走る鉄道車両は、駅を出て加速した後、モーターの供給電力を切ってしばらく惰性で走りますが、レールに比べころがり抵抗が大きいタイヤを用いるAGTは、モーターの供給電力を切ると速度が落ちてしまいますので、惰性運転が苦手です。 自動車が常にアクセルを踏んで惰性運転をしないのと同じです。 しかし、AGTの駅間距離は1キロメートル前後なので、最高速度まで加速すると、惰性運転をする間もなく減速するようになりますので、惰性運転が苦手なことは、問題になりません。 むしろ鉄道車両に比べAGT車両は大変軽量にできていますので、加速時やオフピーク時の消費電力が少なく、タイヤのころがり抵抗が大きいことは問題になりません。 逆にAGTはころがり抵抗の大きいタイヤを用いることで、鉄道では登れない急な勾配を難なく上り下りすることができます。 7.タイヤのパンク AGTの軌道は専用軌道ですので、釘を踏んでパンクするようなことはありませんが、タイヤ内部には空気の代わりに窒素を充てんして腐食対策に気を使っています。 AGTのタイヤの内部には中子という金属のリングが組み込まれていますので、万が一パンクが起こっても、車体の沈み込みの量を僅かにして、走行が続けられるようになっています。 タイヤ側と軌道側にパンクを検知するセンサーが取り付けられているので、パンクを検知すると、速度を落として駅で乗客を降ろし、車両を車両基地まで戻す運用をしています。 8.まとめ 世界には、AGTやAPM以外に札幌地下鉄の車両のようなゴムタイヤ地下鉄が、30路線、車両数が約6,300両ありますので、タイヤメーカーが1社でも、リーズナブルな価格で供給されています。 ゴムタイヤを用いるAGTは、発生騒音・振動の低さ、消費電力の少なさで、 とても環境負荷の小さいシステムです。 コラムi一覧へ戻る
- ブログ | Agt研究所
AGTブログ AGTの魅力を伝える スケッチ&ストーリー 各ブログのタイトルを押していただくと、ブログ全文をご覧いただけます。 「記事一覧」を表示 ゆりかもめ 日暮里・舎人ライナー アストラムライン ニューシャトル ポートライナー ニュートラム ユーカリが丘線 西武山口線 ピーチライナー シーサイドライン 六甲ライナー AGT全般 海外AGT 他のシステム 10 時間前 1 分 AGT全般 AGTは沿線の騒音レベルが低い 8月23日 2 分 ニューシャトル JIDAデザインミュージアムセレクション 8月16日 1 分 AGT全般 AGTのコスパ 8月9日 2 分 ゆりかもめ シートの形状とマナーの関係 8月2日 2 分 まちのシンボル、アストラムライン 7月26日 2 分 AGT全般 エコでヘルシーな無塗装車両製作 7月19日 2 分 AGT全般 全自動無人運転と定時性 7月12日 2 分 ニュートラム ニュータウンとAGT 7月5日 1 分 日暮里・舎人ライナー 車両基地内の全自動無人運転化 6月28日 2 分 ポートライナー AGTの空港線 6月21日 1 分 他のシステム BRTとAGT 6月14日 1 分 ゆりかもめ ブルーリボン賞・ローレル賞候補になったAGT車両 6月7日 1 分 日暮里・舎人ライナー 2色から成る日暮里・舎人ライナーのラインカラー 5月31日 1 分 アストラムライン 次世代AGTの提案 その2 5月24日 2 分 AGT全般 日本のAGT標準 5月17日 1 分 ニューシャトル 全自動無人運転とプラットホームドア 5月10日 1 分 AGT全般 次世代AGTの提案 その1 5月3日 2 分 日暮里・舎人ライナー AGTの車両長はなぜ短い? 4月26日 2 分 ニュートラム AGT車両の共通化 4月19日 1 分 AGT全般 ドアツードアで運ばれるAGT