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消えたAGT――ピーチライナーが残した教訓

  • agtinstitute21
  • 2025年12月26日
  • 読了時間: 2分


AGT研究所の増川です。

AGTブログへ、ようこそ。


今回とり上げる話題は、

消えたAGT――ピーチライナーが残した

教訓

です。



いま日本には10の新交通システム

(AGT)路線があります。

しかし、かつてはもう1本――

「11番目のAGT」が存在していました。



その名は、愛知県の桃花台線(ピーチ

ライナー)。

1991年に開業し、桃花台ニュータウン

と名鉄小牧駅を結ぶ全長7.4kmの路線

でした。

ピンク色のロゴと近未来的な車両が

印象的で、開業当初は「次世代のまちの

足」として大きな期待を集めました。














ところが、ニュータウンの人口が当初の

想定を下回り、利用者数が伸び悩みます。


さらに、名古屋の中心部へ直結する路線

がなく、都心へのアクセスに時間が

かかるという弱点もありました。

利便性の向上策が十分に打てないまま、

15年後の2006年、ピーチライナーは

静かにその姿を消しました。

もし名鉄犬山線やJR中央線に接続できて

いたら――。

もしもう少し沿線のまちづくりと連携

していれば――。

いまも語り継がれる“幻のAGT”には、

そんな「もしも」が残されています。



需要予測のブレは、景気変動や社会情勢

によってどの路線でも起こり得ます。

しかし、接続先の鉄道路線が名古屋の

中心部に直結していないという致命的な

状態で運行を開始したことは決定的でし

た。

この不便さゆえに、当初から多くの住民

に「利用の選択肢」として選ばれず、

関係者の努力も空しく廃線に至りました。


2003年、待望の名鉄小牧線と地下鉄

名城線の接続が実現し、

利用者は1日あたり2,200人から3,100

人と約40%増加しました。

しかし、累積赤字を好転させるには

あまりに遅すぎ、また増え幅も不十分で

あったため、2006年にその歴史を閉じ

ました。


地下鉄接続後であっても、

ピーチライナーを利用して繁華街の栄に

行くには2回、ビジネス街の名古屋駅に

行くには3回の乗り換えを要しました。


その時には、既に、中央道経由で

名古屋都心へ「乗り換えなし」で

直行する高速バスが非常に強力な

ライバルとして台頭しており、

定時性という鉄道の利点をもってしても、

この利便性の差を埋めることは

できませんでした。


「どれほど定時性に優れていても、

目的地までのトータルの利便性で劣れば

公共交通として成立しない」

——ピーチライナーの教訓は、

ここに集約されると思われます。



次回のAGTブログもお楽しみに!

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