なぜ最新の電車を増やしても「日本一の混雑」は解決しないのか? ― 西日暮里駅の「下りエスカレーターの位置」に潜む原因と解決策

AGT研究所の増川です。
AGTブログへ、ようこそ。
今回取り上げる話題は
なぜ最新の電車を増やしても「日本一の
混雑」は解決しないのか?
― 西日暮里駅の「下りエスカレーター
の位置」に潜む原因と解決策
です。
朝の通勤ラッシュ時、混雑率176%に
達し、6年連続で全国ワースト1位を
記録する日暮里・舎人ライナー。
この深刻な混雑に対し、運行側も輸送力
を高めるための新型車両「330形」の
導入や、12編成から20編成への大幅な
増車など、懸命な対策を講じてきました
。しかし、これほどのハードウェアの
強化を行ってもなお、乗客が体感する
混雑は一向に解消されていません。
なぜ、最新の車両を増やしても、この
難題を解決できないのでしょうか。
その原因は、5両編成の車両のうち
「前方の3両」に極端に混雑が偏って
いることにあります。
朝のラッシュ時に降車が集中するのは、
全体の約6割が降車する終点の日暮里駅
と、それに次ぐ約4割が降車する手前の
西日暮里駅です。
終点の日暮里駅はホームの端に改札口が
ある(写真1)ため前側が混み合うのは
やむを得ませんが、西日暮里駅では、
ホームから下りる主要な動線である
「下りエスカレーターの位置」が、
ちょうど車両の2両目と3両目の間に
配置されています(写真2)。
そのため、西日暮里駅で降りる多くの
乗客が、このエスカレーターに近い
前方の3両へと集中してしまうのです。


このボトルネックとなっているエスカ
レーターを物理的に移設することは、
容易ではありません。
そこで提案したいのが、朝のラッシュ時
にあえて「下りエスカレーターの稼働を
ストップする」という運用上のアプロー
チです。
エスカレーターを止め、乗客にホーム
の後端(見沼代親水公園側)近くにある
階段を使って改札口まで下りてもらう
流動を作れば、日暮里側の前3両の混雑
は大きく緩和されると考えられます。
どれほど最新の車両を走らせて輸送力を
高めても、駅側の設備配置が乗客の行動
パターンを決定づけ、車両側の対策効果
を打ち消してしまう。
このインフラ設計の難しい現実に対し、
運用の工夫で挑む意義は極めて大きいと
言えます。
都市交通計画に欠かせない視点とは、
単に車両を増やして「運ぶ」ことだけで
なく、駅の構造や既存の設備配置、
さらには運用のソフト面によって乗客を
どのように「導くか」という動線設計に
あります。
人を運ぶ車両の進化と、人を流す駅の
構造。
この双方が調和して初めて、私たちは
インフラ本来の輸送力を十分に享受でき
るようになるのではないでしょうか。
次回のAGTブログもお楽しみに!
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