動かさないことが生む「絶対的な信頼」 ― 日米の給電方式に見る設計思想の差
- agtinstitute21
- 2 日前
- 読了時間: 2分

AGT研究所の増川です。
AGTブログへ、ようこそ。
今回取り上げる話題は
動かさないことが生む「絶対的な信頼」
― 日米の給電方式に見る設計思想の差
です。
街の中でAGTを見上げたとき、
まず感じるのはその「スッキリとした
美しさ」です。
鉄道のような空を遮る複雑な架線や
電柱が一切ありません。
AGTは、すべての電力を走行路の低い
位置にある「第三軌条」から取り込む
仕組みだからです。
この「車体より下に給電線を収める」
という選択が、都市の景観を軽やかに
し、広い空を守っています。
しかし、この給電線には日本と米国で
決定的な「構造の差」が存在します。
特に注目すべきは、列車の進路を切り替
える「分岐部」です。
米国の方式は、ガイドレールと一緒に
給電線がダイナミックに動く「可動式」
を採用しています。
非常にコンパクトに収まるメリットが
ありますが、複雑なメカニズムは摩耗や
故障のリスクを伴います。

対して日本の方式は、分岐部においても
給電線が一切動かない「固定式」です。
構造が複雑に見えても、動く箇所を
徹底的に排除した「静的」なインフラ。
ここに日本の技術者たちのこだわりが
詰まっています。

なぜこれほどまでに「動かないこと」に
こだわるのか。
それは、無人運転のAGTにおいて、
小さなトラブルが全列車の停止、
つまり「都市の血流」の停止に直結する
からです。
その差は、実際の運用実績にも表れて
います。
シンガポールには米国式の「ブキット
パンジャン線」と日本式の「センカン・
プンゴル線」が共存していますが、
日本式の圧倒的な信頼性の高さは
現地でも高く評価されています。
「動かない架線」は、一見すると
地味な工夫かもしれません。
しかし、その裏には「絶対に止めては
ならない」という都市インフラとしての
強い使命感があります。
技術の細部を見つめる「虫の目」が
究極の安定性を生み、それが「鳥の目」
で見たときの、信頼される都市の風景を
つくり出しているのです。
世界の都市を支える日本のAGT。
その強さは、この「揺るぎない足元」に
支えられています。
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