なぜ「ゆりかもめ」には2つの顔があるのか? ― 日本人が知らない“夏の記憶”を運ぶデザイン
- 12 時間前
- 読了時間: 2分

AGT研究所の増川です。
AGTブログへ、ようこそ。
今回取り上げる話題は
なぜ「ゆりかもめ」には2つの顔が
あるのか? ― 日本人が知らない
“夏の記憶”を運ぶデザイン
です。
お台場を走る「ゆりかもめ」。
そのフロントフェースは、私たちが冬に
よく目にするユリカモメの「白」を基調
としたデザインが印象的です。
しかし、最新の第2世代車両を見比べる
と、そこには明確な色の違いが存在しま
す。
実はその配色の差には、日本で過ごす
大半の期間には目にすることのない、
旅立ちを控えたわずかな時期だけの
「真の姿」が託されています。

ユリカモメは渡り鳥です。
11月に日本へやってくる時は頭部が
白い「冬羽」ですが、北へ戻る直前の
3月頃になると、頭部が黒褐色に生え
変わる「夏羽」へと姿を変え始めます。
写真右側の7300系は「冬の白い顔」を
イメージしていますが、一方で、写真
左側の7500系は7300系に比べて
前面の濃いブルーの面積が多くなって
います。
これは、春先のわずかな期間にしか
見られない希少な「夏の黒い顔」を
デザインテーマとして取り入れたもの
なのです。
デザイナーは、お台場の空から消えて
いく季節に、遠くシベリアで生きる
彼らの生命力を、この「色彩デザイン」
で表現しようとしました。
通常、公共交通のデザインは識別性や
統一感を優先します。
しかし、ゆりかもめの第2世代が選んだ
のは、マイナーチェンジを通じて
渡り鳥のあまり知られていない習性を
伝えたいという、車両デザイナーの取組
でした。
「夏の間、彼らはどこで、どんな姿で
生きているのか」。
2種類の車両がすれ違う瞬間、私たちは
単なる移動を超えて、都市と繋がって
いる壮大な自然のサイクルを直感的に
受け取ることになります。
インフラが、その名の由来となった
生き物の「物語」をデザインで語り継ぐ
。
それは、合理性だけで作られた街に、
季節の奥行きと人間味を吹き込む
一つの「提案」です。
次にゆりかもめに乗る時は、ぜひ
フロントフェースの色の違いに注目して
みてください。
その濃いブルーの向こうに、旅立ちを
待つユリカモメたちが見つめる
シベリアの夏空が広がっているかもしれ
ません。
これこそが、都市交通が目指すべき
新しいホスピタリティの形ではないで
しょうか。
次回のAGTブログもお楽しみに!
コメント