
AGTコラム
AGTについて詳しくお伝えします
№06
優れたAGTの低騒音、低振動性能
2023/2/10
1.AGTは軋り音もなくガード下も静か
鉄道と言えば、ガタンゴトン、ガタンゴトンという擬音が思い浮かびますが、ロングレールの採用が一般的になってから、これも遠い昔のノスタルジックな記憶となりました。
しかしながら、鉄道がカーブで発生する甲高い軋り音は、ロングレールに替わっても相変わらずです。
ゴムタイヤで走るAGTは、どんな小さなカーブでも軋り音を発生させることはないので、直線部が少なく、カーブの多い都市内の路線用としてはうってつけです。
このコラムでは、ゴムタイヤを使ったAGTやモノレールが、沿線に静かな環境をもたらしている例をご紹介します。
ガード下の飲み屋で、電車が通った時に会話が聞き取れなかった経験がありませんか。 それでもガード下の飲み屋が人気なのは、アルコールが入ることで騒音に負けまいと更に声が大きくなって、話が盛り上がる効果があるからかもしれません。

有楽町ガード下
AGTの高架軌道下に飲み屋があるとは聞いていませんが、あったとしたら、会話が聞き取れないようなことはなく、静かな会話が続くので、飲み屋より静かな雰囲気の喫茶店の方が似合うでしょう。
2.日暮里・舎人ライナーの低騒音・低振動性能
日暮里・舎人ライナーは、全線高架の9.7km 、13駅、毎日の利用者が9万人を超えるAGT路線です。

日暮里・舎人ライナー
日暮里駅から9番目の西新井大師西駅までの区間は、沿線に多くのマンションが立ち並んでいます

日暮里・舎人ライナーの沿線
首都高速もAGTの高架軌道と同じように高架道路の沿線に事務所やマンションが林立していますが、防音フェンスを設置している区間が多く、防音フェンスのないAGT軌道の様子とは異なります。

首都高速道の防音フェンス
AGTの場合、自動車のように排気音が出ないのと最高速度が時速60キロと決まっていますので、主音源であるタイヤノイズの大きさは高速道路に比べて小さいため、防音フェンスの設置に至りません。
日暮里・舎人ライナーの西新井大師西駅を超える辺から、沿線の建物に戸建てが多くなります。

日暮里・舎人ライナー西新井大師西駅付近
都の振動、騒音条例では、住宅地の夜間の振動値が55デシベル以下、騒音値が70デシベル以下となっていますが、舎人ライナーはこれを十分下回っています。
3.ユーカリが丘線の事例
千葉県佐倉市にある日本のAGTで3番目に古いユーカリが丘線は、高架あ
り、地上あり、切土あり、トンネルありのバラエティに富んだ路線です.

ユーカリが丘線
山万というこの地域を開発したデベロッパーが自己資金で建設し、40年間も運営を続けてきているAGTです。
テニスのラケットのような形をした単線4.1km、6駅のシンプルな路線です。
下の写真は、ユーカリが丘線の地上軌道区間ですが、手を伸ばせば届くような距離で住宅と近接しています。

住宅街のすぐ横を通るユーカリが丘
もう一枚の写真は、地上区間と高架区間を繋ぐ勾配区間ですが、これも驚くほど住宅と近接しています。

ユーカリが丘線の勾配区間
エンジン音のしないAGTのように路線バスも電気バスにすれば、エンジン音を消すことができます。
しかし、バス道路には一般車両も通りますので、バスだけEV化しても騒音、振動の問題は解決されません。
その点、専用軌道のAGTには一般車両が入ってこれませんので、軌道に近接した戸建て住宅でも快適に暮らせるよう騒音、振動はずっと低く保たれます。
4.湘南モノレールと江ノ電
鎌倉と藤沢を結ぶ江の島電鉄線、通称江ノ電も、人家と近い線路として知られています。

江ノ電
同じく湘南モノレールも上下1車線ずつしかない道路上に建設された単線の乗り物ですが1日の乗降客数が2万8千人で開業50年を超える路線です。

湘南モノレール
同じ湘南を走る江ノ電と湘南モノレールですが、騒音、振動を比較するとその違いに驚くほどです。
江ノ電の最高速度は40キロですが、沿線の騒音は100デシベルを超え、かなり大きいですが、湘南モノレールは住宅と接する区間では60キロで走行しますが、沿線の振動、騒音は江ノ電に比べかなり低くマイルドで、AGTと同様、ゴムタイヤを用いる車両の特徴を発揮しています。
5.まとめ
公共交通は多くの人に利便性を提供しますが、沿線の住民が騒音や振動で迷惑を被らないようにせねばなりません。 ご紹介したようにゴムタイヤを用いるAGTは周辺の住民の皆さんとの共生を図っていくうえで優れた選択肢です。