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AGTコラム

AGTについて詳しくお伝えします

№04
ゴムタイヤ車両の特徴

2022/10/10

1.ゴムタイヤ車両の特徴

 

AGTは、鉄輪の代わりにゴムタイヤを用いることで低騒音、低振動を実現し、沿線の環境負荷が小さいという特徴を持ったシステムです。

2本のレールの上を走る鉄道車両は、直線区間は滑るように走りますが、
カーブでは、軋り音が発生してしまいます。

特に地下鉄では、地上の鉄道に比べ小さなカーブが多く、その分軋り音の
発生頻度と大きさが目立ちます。

昨今の感染症対策で開いた窓から軋り音が車内に入り込んできてその大きさがよくわかります。

振動についてもトラックなど一般道を走行する重量車両の振動は、直接沿線の建物に伝わりますが、AGTの場合は、高架軌道を支える構造物が振動を
吸収し、沿線の建物に与える影響は殆どありません。

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2.AGTのタイヤ

 

日本のAGTの1車両の最大荷重は、18トンと決まっています。
車両の重量が約11トン、乗客の重量が約7トンです。

乗客の平均体重を60㎏とすると、1両に116人、6両編成で最大696人を運ぶことができます。

18トンの車両を4本のタイヤで支えるので、1本のタイヤが支える荷重は4.5トンとなります。

トラックやバスのタイヤの最大許容荷重は3トンですので、許容荷重4.5トンを必要とするAGT用タイヤには、AGT専用のタイヤが使われます。

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3.タイヤのサプライヤー

日本では、このAGT用最大許容荷重4.5トン、最高速度毎時60キロメートルのタイヤを、ブリヂストン、横浜タイヤ、ミシュランの3社が供給しています。

海外では、最大許容荷重6トン、最高速度毎時80キロメートルのAGT用タイヤをミシュラン1社が独占的に供給しています。

 

日本のAGTの最大許容荷重は18トンですが、海外のAGTは24トンになります。

4.AGTの走行路

自動車が走る一般道にはアスファルト舗装が使われますが、AGTの軌道は一般道と違い同じ場所を同じ車両が往復しますので、アスファルト舗装では轍(わだち)ができて走行路面の基準が変化し、案内軌条や電車線の高さやホームの高さにも影響が出てしまうため、アスファルト舗装より耐圧、耐摩耗性が高いコンクリートが使われます。

コンクリートの走行路は、水はけをよくするのと、分岐部の転轍機のロッドを通すためにスラブから20センチメートルほど高く作られています。

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5.タイヤの交換頻度

路線のカーブの多さ、坂の勾配の度合いや数に依りますが、日本ではタイヤを大体2年間で交換します。

日本のAGTは、例外もありますが1車両に2軸あるうちの1軸がモーターのある駆動軸、もう1軸がモーターのない従動軸となっています。

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駆動軸のタイヤは摩耗して、だいたい1年で交換時期を迎えますが、従動軸のタイヤは1年間走行しても殆ど減りませんので、1年で駆動軸と従動軸のタイヤを交換し、2年もたせるのが一般的です。

海外のAGTは、1車両に2軸ある点は日本のAGTと同じですが、従動軸がなく、2軸ともモーターがついた駆動軸で、最高速度も毎時80キロメートル出ますので、約1年で4輪を交換しています。

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6.タイヤのころがり抵抗

レールの上を走る鉄道車両は、駅を出て加速した後、モーターの供給電力を切ってしばらく惰性で走りますが、レールに比べころがり抵抗が大きいタイヤを用いるAGTは、モーターの供給電力を切ると速度が落ちてしまいますので、惰性運転が苦手です。

自動車が常にアクセルを踏んで惰性運転をしないのと同じです。
 
しかし、AGTの駅間距離は1キロメートル前後なので、最高速度まで加速すると、惰性運転をする間もなく減速するようになりますので、惰性運転が苦手なことは、問題になりません。

むしろ鉄道車両に比べAGT車両は大変軽量にできていますので、加速時やオフピーク時の消費電力が少なく、タイヤのころがり抵抗が大きいことは問題になりません。

 

逆にAGTはころがり抵抗の大きいタイヤを用いることで、鉄道では登れない急な勾配を難なく上り下りすることができます。

 

7.タイヤのパンク

AGTの軌道は専用軌道ですので、釘を踏んでパンクするようなことはありませんが、タイヤ内部には空気の代わりに窒素を充てんして腐食対策に気を使っています。 

AGTのタイヤの内部には中子という金属のリングが組み込まれていますので、万が一パンクが起こっても、車体の沈み込みの量を僅かにして、走行が続けられるようになっています。

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タイヤ側と軌道側にパンクを検知するセンサーが取り付けられているので、パンクを検知すると、速度を落として駅で乗客を降ろし、車両を車両基地まで戻す運用をしています。 
 

8.まとめ

世界には、AGTやAPM以外に札幌地下鉄の車両のようなゴムタイヤ地下鉄が、30路線、車両数が約6,300両ありますので、タイヤメーカーが1社でも、リーズナブルな価格で供給されています。

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ゴムタイヤを用いるAGTは、発生騒音・振動の低さ、消費電力の少なさで、
とても環境負荷の小さいシステムです。

© 2022 AGT研究所

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